和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
日本の税制度への不満
智辯学園和歌山中学校 3年
土岐 優晟

現在、日本国民は我が国の税の制度について、不満を持っている人が多い。日本は国際的に見て、税や社会保障料の負担が低い。それは、日本には勤労し、倹約し、身の丈に応じて生きるという通俗道徳が色濃く残っていて、老後、子どもの教育、大きな病気、住まいなどをすべて自己責任で備える社会を作るために、貯蓄をしてきたからだ。そのため生活保障はとにかく貧弱で、社会保障給付を対GDP比で見ると、先進国の中で下から3番目である。消費税が上がることで、貯蓄が少なくなることに加え、年金がどんどん低くなり、高齢者は生活に不満を持つようになった。このような事態になってしまった原因は少子高齢化である。日本の医療の発達により、人生100年時代とも言われるようになっている。また、結婚・出産に対する価値観が変化したり、子育てに対する負担感が増大したことなどにより、若い人々の数が減った。そのため、高齢者の年金を支えるための税金を払う若い人々には負担がかかって、税金が払えなくなり、それが理由で年金が減った高齢者にも負担がかかってしまっている。つまり、全世代の人々が苦しんでいるのが、日本の現状である。

一方、ヨーロッパでは、消費税が日本よりも約2.5倍高くなっているにも関わらず、国民の不満はほとんどない。なぜなら、出産から教育、病院・入院代、葬儀に至るまで費用はすべて国が負担するというような国民にも実感できるようなかたちで国民の生活を豊かにしているからである。このような消費税は高いが、それを払った分、自分に返ってくるような制度を日本が取り入れないのはなぜか。それは、日本が「こんなことできるわけがない。」というような先入観があるからではないのか。税金を払っても、その分が返ってこない今の日本は不満だけが溜まっていく一方である。この状態を改善するには、そうした先入観を無くして、日本の政府が税金を高くしてでも、ヨーロッパのようにきちんと福祉と教育を充実させ、先程述べた、子育てに対する負担感を減らすことが重要だと思う。そうすれば、少子高齢化が改善され、さらに国民全員が生活が苦しいと思わない社会になる。

これから、大切になってくることは、少子高齢化を乗り越えるような税の制度を作るために、この作文のように、若い頃から義務教育として税について考え、議論していくことではないのか。一歩踏み出す勇気が次世代の人のためにも重要なことだと私は思う。

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