和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
税金の使い道
智辯学園和歌山中学校 3年
筈谷 将大

校舎には屋根がなく、先生は1人で2つの学級を担当する。学校までの橋は壊れたままで、その下を流れる川には浮き輪が備えてある。インドネシアの田舎では、学校の環境が極めて劣悪だ。私がこのことを知ったのは、あるプログラムに参加したときだ。そのプログラムでは、海外からの留学生と一緒に社会問題を解決する思考法を学ぶ。私の班はインドネシア人の学生とこの問題に取り組んだ。彼によると、インドネシアの田舎にある学校は授業料が無料だが、資金はほとんど寄付に頼っているそうだ。本来ならば、これは寄付ではなく税金であるべきだが、どうしてこのようなことが起こっているのか。

「国はより大きな都市に多くのお金を与えるから、田舎に回ってくるのはほんの少し。」

これが答えだった。たしかに、国の利益を考えれば大都市や観光地に資金を配布するのは理にかなっている。しかし、だからといってそれ以外の地域を劣悪な環境のまま放置してよいのか。

税金といえば、本来は国や地域がそれを使ってインフラ整備や医療、社会福祉などを行うものだ。言い換えると、税金によって私たちの周りの公共サービスが充実していく。しかし、実際に税金というと否定的、消極的な印象がともなう。それはどうしてだろうか。

一つには、税を納めてもその恩恵を受けられないということがある。インドネシアの例では、ただでさえ貧しい田舎の人々が税金を納めることにメリットはない。たとえ税を納めても大都市のために使われてしまい、学校をはじめとした様々な劣悪な環境が改善されることはないからだ。結局、私たちの班は税金と関係のない解決策を考えたが、ちらりと出た税の話題を改めて考えると、税金がどのように使われているかは非常に大切だと思った。これはインドネシアだけでなく、世界のあらゆる国、地域共同体の問題だ。

日本はどうだろうか。完璧ではないものの基本的には税の配分がうまくいっていると私は思う。だが、日本でも「税」という言葉に否定的な印象をもつ人が多いのは事実だ。私はその理由をこう考える。日本では「税を納めてもその恩恵をまったく受けられない」ということこそないが、多くの人がその恩恵に気付いていないのだ。知識として税がどのように使われるかを知っていても、実際にはそれが当たり前すぎて気付かない。そして、ニュースを通して「増税」などと耳にするたび否定的な印象を持ってしまう。

これからも、さまざまな場面で税が必要とされる。税に対する印象を変えるためには、納める側も集める側も、それがどう使われるかや使われた結果について強い意識を持たなければいけない。税金は小さな負担を多くの人に分配して大きな成果をもたらすことのできる素晴らしい仕組みのはずなのだから。

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