和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
届いた努力、つなげる幸せ
紀の川市立貴志川中学校 3年
鎌田 小蒔

「この教科書は、税金によって無償で支給されています。」小学生の頃からずっと、教科書をひっくり返すとこの文字が目に入ってくる。それを見る度に私は「教科書が無料なのは当たり前なのに、どうして恩着せがましく書くんだ」と思っていた。しかし、今の私はそう思わない。

私の母は、毎年5月が来ると自動車税だとか固定資産税だとか言って騒ぎ出す。私がよく知っていて、更に払っている税は消費税だけなので、「税」という言葉にはどこか実感が伴わなかった。そう母に言うと、衝撃の一言が返ってきた。「学校の机も椅子も全部、税金のおかげであるんやで。」今まで自分の身の回りにある物で税金によってまかなわれているのは教科書だけだと思っていた。しかし、毎日勉強する机も当然のように座る椅子も、そもそもの学校も税の補助を受け存在していたのだ!

教育に使われる税について興味をもち、調べることにした。なんと教育費は社会保障費と公共事業費に次ぐ国の支出額の3位で、5兆円だそうだ。私たち中学生1人あたりに使われている金額は100万円だ。もし税金が無ければ教育費どころか、学校に通うことは絶対に出来なかっただろう。このことを知ったとき、いつも買い物にくっついてくる消費税に初めて感謝をした。

人々が安定した生活を手に入れるために、国からの税が必要不可欠だと分かった。では税の恩恵を受けて生きている私たちは、どうやって税を納めるべきなのだろうか。今の私たちは、買い物のときに払う消費税しか納めることしかできない。大人たちは自分で得たお金の一部を色々な形で納めてくれている。その税金は、皆に平等に「生活」を与えてくれる。そう考えると私たちは何もできていないように見えるが、これからできることは二つあると思っている。まず、誰かが一生懸命働いてくれたお金の上で生きているのだと忘れず、勉学に励むことだ。私たちが当然のように手にしている環境は税金と誰かの努力で成り立っているのだ。そして、もう少し大人になったら、しっかり税金を納めること。今私たちが誰かの努力のおかげで幸せなように、未来でも知らない誰かが幸せになれるよう、私たちも頑張らなければいけない。努力と幸せが、「納税」を通してつながり合う。教科書の無償という文字は恩着せがましくなどない。誰かの努力が私たちに届いた、素晴らしい証なのだ。

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