和歌山県租税教育推進連絡協議会

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近畿税理士会会長賞
私だから伝えらえること
橋本市立橋本中央中学校 3年
堀内 杏海

私は多分、他の人より多く病院にお世話になっている。私はまだ幼い頃、小児癌と心臓病が発見され、手術を五回重ねた。また、治療に伴い、入院生活も二年程送っていた。治療を終えてから十年以上経つ今でも、年に一度、大きな病院での検査が必要だ。検査では、レントゲン、採血、心エコー、心電図などを受けるため、時間とお金がかかってしまう。私は、病院に行く度に子どもながらにお金の心配をしていた。窓口でお金を払う母を見ながら、なんともいえない罪悪感を抱いていた。

今回、税の作文を書くにあたって、医療費についての疑問が浮かんだ。手術や検診にかかる費用は自己負担なのか。インターネットで調べてみたところ、私の病気の手術や治療は県や国が代わりに負担してくれているらしい。では、母が毎回病院で払っていたお金は一体何だったのだろう。母に尋ねてみると、「あれは一旦私が支払っているだけで、後で県が支払ってくれているのよ。」と教えてくれた。私は、検診は大阪府で受けているけれど住んでいる所は和歌山県だから、検診にかかる費用は和歌山県が出してくれているそうだ。和歌山県の中でも私の住む橋本市では、高校生以下の医療費を全額負担してくれる「こども医療費助成制度」という制度があり、市内の子ども全般を対象としている。また、小児癌の治療は長期間にわたり経済的負担も大きいことから、国も公費の一部で医療費を負担してくれている。公費とは、私たち国民の税金で集めたお金ということだから、私の小児癌治療にかかる費用は国民が払ってくれているともいえる。この制度は「小児慢性特定疾患治療研究事業」といい、小児癌患者にとって大きな助けとなっている。国民の税金で患者の負担が減る、ということは、国民が税を通して国民を手助けしているということではないだろうか。税を納める側からすれば、自分で稼いだお金の一部を取られるのだから、あまり良い気はしないだろう。けれど、自分が納めた税で誰かの治療を手助けしている、そう思えば納税はとても誇らしいことだ。もちろん、税の使い道は医療だけではない。教育の振興や福祉の充実、公共施設の整備などにも利用されていて、私たち国民がより良い暮らしを送るための手段となっている。

仕事をしていない私たち中学生にとって、税は少し遠く感じるものだと思う。それでも私たちは日本国民であり、気づかないところで税と深く関わっている。これからも私たち国民は税を納めなければならない。これからも私たち患者は検査を受けなければならない。こうして国民が国民を手助けし、共生する社会を、私たちは税を通して作っている。この先私が働くようになって、税を受ける側から納める側になったら、誇りを持って税を納めたいと思う。

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