和歌山県租税教育推進連絡協議会

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国税庁長官賞
鯨とともに生きる私たちと税
太地町立太地中学校 3年
森本 健星

あるがままの豊かで美しい自然に囲まれる、和歌山県太地町。先代から現代に受け継がれてきた「くじら」と共に生きるこの町は今、堅実に前進している。

少し前に父が、太地町の今とこれからについて話してくれた。これまで「くじら」を中心とした観光に力を入れてきたが、数年前から、クジラの学術研究都市として「太地町くじらと自然公園のまちづくり」構想を推進しているというのだ。最近、町の中で変わっていくところを見るたびに不思議に思っていたが、そういうことだったのかと理解した。続けて父は話した。このように町の事業を成り立たせるためには、多くの人の支えが必要だ、と。

多くの人の支えとはどういうことなのか。その時、僕が真っ先に思い浮かんだのが「税金」だった。僕自身、これまで税金といえば、消費税や所得税、たばこ税といった「取られる税」ばかりイメージしがちであった。それは、自分や身のまわりの人達が税金を納めるところは多く目にしてきたが、その税金がいつ、どこで、どのように使われているかを、意識して見ようとしてこなかったからだと思う。

父の話を聞いて以来、この町の税金の「使い道」について考えるようになった。あらゆるところに設置されたベンチや街灯、綺麗に舗装された道路、鯨の学術研究都市の主要施設である日本鯨類研究所の支所の建設、湾での鯨類飼育の環境整備。町を見渡せば、諸所に税金が使われている。税金が社会保障に多く使われているのはよく耳にするが、ここまで税の力が行き届いているというのには感銘を受けた。税の使い道を少し意識してみるだけでも、至る所でありがたみを感じる。


父の話を聞いてから、この町の伝統を守りつつ、これからの事業を展開していくためには、多くの人の支え、「税」が大切だと考えるようになった。「太地町くじらと自然公園のまちづくり」を進めていくためには、これからも多くの時間と協力が必要になる。これまで何気なく支払ってきた消費税も、この町に限らず、日本のどこかで役立っているかもしれないと思うと今では誇らしく思える。

これまでの伝統とこれからの地域社会を守っていく税。くじらと共に生きるこの町で、日々税のありがたさに感謝し、地域に貢献できるような人になりたい。

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