和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
心の豊かさと税
智辯学園和歌山中学校 3年
 保本 真歩

夏休みに家族で東京の美術館に訪れた時の事である。館内に入る前、「十八歳以下は入場料無料」の案内が目に留まった。しかし、客の約半数が小学生から高校生、すなわち十八歳以下であるように思えた。そこで、私は美術館の建設や作品展示に多くのお金が必要であるのにも関わらず、なぜ約半数もの客の入場を無料にできるのかという疑問を抱いた。そして、その疑問について調べてみると、美術館や博物館の建設、展示品の保護などに税金が使われている為、安い金額で入場・鑑賞ができるという事が分かった。しかし同時に、私は残念な事実も知ってしまったのだ。それは、美術館などの「社会教育施設」と呼ばれる物に税金を用いる事、不適切であると考えている人がいるという事実である。そのような人たちは、社会教育施設よりも、更なる社会福祉の充実のために税金を注ぐべきだと主張している。確かに、社会福祉は、今後より深刻になると考えられている少子高齢化社会の対策として、必要性が高まるだろう。しかし、社会福祉の充実のために、美術館や博物館に注ぐ税金を減らしても良いのだろうか。私はそうは思わない。美術作品や科学展示などを鑑賞することは、私たち学生や大人、高齢者が豊かな心を持つために重要だからだ。私も、美術館や博物館へ行く度、多くの発見や知識を得ることができる。この発見や知識は、人に様々な物の見方や新しい感情を与えてくれるのだ。このような人間形成が、国民の納める税によって行われるのは、素晴らしい事であると思う。

私は今まで、税は国の借金の返済や社会福祉、働く人への給与のためだけに使われているのだと考えていた。しかし美術館と税の関係を知って、税は、納税者である国民自身の豊かな心、感情、様々な物の見方を作るために、大いに役立っている事が分かった。そのような豊かな心が、人々の笑顔や支え合いの精神をつくり、国民の充実した生活につながるだろう。また、様々な物の見方によって、国民の国際理解や障がい者理解が深まり、差別やいじめのない社会が作られていくだろう。このように、多くの人が笑顔で楽しく過ごせる社会を作るために、納税は大切な事なのである。

私は、美術館に関する税金について調べて、税金は社会福祉などの金銭的、身体的な援助のためだけでなく、社会教育施設のような、人々の心を育てる物のためにも使われているという事が分かった。その事実から、私は、日本国民の「納税」は少子高齢化社会における福祉の充実という目的と、自分達の精神の豊かさを作るという目的を果たすために、重要なものであると言えると思う。

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