和歌山県租税教育推進連絡協議会

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近畿税理士会会長賞
「身近でできる人助け」
有田川町立石垣中学校三年 稲田 安規

母子家庭。近年増加傾向にあると、テレビのニュースや新聞でよく目にする。特によく取り上げられているのが、所得の少なさである。一人で子育てと仕事をするため、生活費を充分に賄えないそうだ。もしぎりぎりの生活をしていて突然病気になったら、医療費を支払うのが本当に大変になると思う。

私は、父が他界しているため、母子家庭だ。和歌山県には「ひとり親家庭医療費受給制度」があるので、有田川町が診察費や薬代を負担してくれる。私は幼い頃によく体調を崩して、病院へ行った。だから、母はこの制度があって、とても助かったと思う。しかし、税金から支給されているため、少し罪悪感がある。母には安定した職があり、普通に生活していける収入があるからだ。税金は多くの人が一生懸命働くことで、蓄えられる。そんな苦労の結晶を、私が使ってしまっていいのかなと思う。私たちは学校で学ぶことで、税金を消費しているが、医療費の全額負担は全員に行われているのではない。特別な事だから、申し訳なく思ってしまう。だが、学校での学習に、将来を担う期待が込められているように、母子家庭を手助けしようと考えてくれている人がいるかもしれないとも思う。そう考えたとき、一生懸命勉強に励んで職に就き、将来社会に還元しようと思った。多くの人から集まった税金を使わせてもらっていることに、感謝の気持ちを忘れないでいたい。

また、困っているのは母子家庭だけではない。高齢者や、障害があって働くことができない人もいる。でもそれらの人には、生活するための必要最低限の金額しか支払われない。これでは、とても苦しい生活になってしまう。高齢者の年金に関しては、生活していける金額を全然満たしていないと、耳にしたことがある。働きたくても働けない人は、働ける人が頑張って支えなければならないと思う。そして受給している人は、助けてもらっているという感謝の気持ちをもっていてほしい。

自分が必死で働いて儲けたお金から、自分の生活費以外で支払いをするのだから、納税を嬉しく思う人はほとんどいないと思う。しかし、納税は確実に人のためになっている。学校教育のために使われれば子供たちの役に立てるし、社会保障費に使われれば誰かの生活を助けられる。場合によっては、命を助けることに繋がるかもしれない。納税は少しずつだ。でも、大勢がするから、たくさん貯まる。つまり、人助けを大勢で協力してできるのだ。

身近でできる、人助け。それが、納税だ。一度、誰かのためになることができると考えて、納税をしてみてほしい。そうすれば、とても明るい気持ちになれるはずだ。顔は見えなくても、助けられた方もきっと喜んでいる。

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