谷口 くらら
「減税で皆さんの暮らしを守ります!」
テレビをつけると参議院選挙の力強い演説が聞こえてきた。
税金が減るなら、そりゃいいに決まってる。
最初はそう思った。
でも、減税をすることだけが本当に私達の味方なのだろうか。
そんな疑問が生まれたのは、学校で受けた租税教室がきっかけだった。
スクリーンに映し出された、「税金がなくなった世界」。
街中にごみがあふれ、命を守るはずの消防すらも、まともに動かない。
そんな光景に私は思わず、言葉を失った。
減税は私達の当たり前すらも奪いかねない存在だと気づいた瞬間だった。
夏休みの間、ほんの少し税金の意識を向けてみるだけでも多くの気づきがあった。
例えば、夏祭りの設営や花火の安全な打ち上げにも税金が使われているということ。
税金というのは、病院や消防などの公共性の高いものにしか使われていないと考えていた私にとって、娯楽の分野である夏祭りにも税金が使用されているということは、大きな驚きとなった。
こうした身近な発見があったからこそ、私は改めて税金の大切さを実感した。
けれど、だからといって税金を増やしすぎる、ということが、必ずしも私達の生活を良くするとは限らないと思う。
税金が高くなると、国民の負担が大きくなり、「また取られるのか」という政府への不満や不安も残ってしまう。
実際にSNSをのぞいてみると、税金に対する厳しい声や、政府への批判的な意見が多くみられるのが現状だ。
そんな国民の税への不満を無くすために必要なのは、ただ減税をすることではない。
税金が何に、どのように使われているのかを、国民一人ひとりが知ることだと思う。
その理解が深まれば、税に対する信頼も少しずつ戻っていくはずだ。
今の日本が目指すべきところは、国民が税を悪としてではなく、暮らしを支える存在として受けとめられる社会だと思う。
選挙で「税のあり方」が注目されている今だからこそ、税の存在について真剣に考えるチャンスだと思う。
税は決して悪者なんかじゃない。
もし、そんな税に「味方」がいるとしたら、それは知ろう、学ぼうとする私たち自身だと思う。





