和歌山県租税教育推進連絡協議会

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近畿納税貯蓄組合総連合会会長賞
受け継ぐ想い
和歌山県立古佐田丘中学校 3年
山本 志乃

1937年に建てられた、南北に続く89メートルの廊下がある築88年の木造平屋建て、3,500平方メートルを超える大規模な校舎は、15センチ角のヒノキの柱が800本も使われ、筋交や方杖を多用し、耐震耐風への工夫がなされた歴史的価値の高い建造物だ。 2014年には国の重要文化財に指定され、今年度開校150周年を迎える、高野口小学校。 それが私の母校だ。

古佐田丘中学校に進学し、校舎は鉄筋コンクリート造の4階建てになった。 小学校が大規模な平屋だったため、最初は校内に階段があることや別棟があることすら新鮮だった。

しかし中学生活に慣れるうちに記憶も薄れ、小学校のことを思い出すこともほとんどなくなった。 そんなとき、妹から今年度で150周年を迎えることを聞いて、ふとあの6年間を過ごした木造校舎を思い出した。

趣のある外観や、高い天井から吊るされた廊下の白熱電灯、木枠のガラス窓に、出入り口の木製建具。

トイレは全て洋式便器が備えつけられ、校舎はバリアフリー。 築88年を迎えるというのに中身は新しく、よく手入れされていた。 改めて思い出してみると、とても珍しく、良い学校だったなと思った。 気になって調べてみると、建築費用の半分以上は、当時の地元の有力者や住民の寄付で賄われたそうだ。

驚いていると、それを維持しているのは、みんなが納めた税金なのだ、と母が教えてくれた。 平成23年に完了した高野口小学校の改修・改築工事の費用はおよそ6億6,300万円。 これらは通常、市町村や都道府県の予算、国の補助金から捻出されるのだ。 その財源は私たちの納めた税金。

だから税金は大変だけど、大切なものなんだよ、と母は言った。 更に小学校が国の重要文化財に登録されたため、その修理などには国庫補助金が交付されるようにもなった。

昔の高野口町の人々が力を合わせて建てた小学校を、この先の未来に繋げていくために、多くの税金が使われていたことがわかった。 私たちがあの素晴らしい小学校で過ごせたのは、たくさんの人々の支えがあったからだ。 今回、税の勉強をすることで、高野口町の昔の人々と今の人々の繋がりを感じ、それに気付くことができてよかったなと思った。

税金は、私たちにはあまり関係がないと思っていた。 何に使われているかもわからなかった。

しかし調べてみると、みんなが納めてくれた税金で、教室にエアコンが設置されたり、タブレット端末を貸与してくれたり、身近なところにも多くの税金が使われていることがわかった。 私たちが安心して勉強できるように、大人たちが守ってくれているんだということを知った今、私も大人になって働くようになったら、きちんと税金を納めようと思う。

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