山﨑 千晴
「何で、病院ではお金を払わなくてもいいの?」
この問は、就学前の私が母にした質問だ。
私は小さい頃から呼吸器が弱く、よく病院のお世話になっている。
売買の仕組みを理解しだした小さな私は、「物を買ったり、何かしてもらったらお金を払わないといけないのに、なぜ病院の受付では払わないの?ダメなことじゃないの?」という疑問が頭にポンッと浮かんだのだ。
この間に母は「ええんやよ。みんなでお金を出し合ってるんやから」と答えてくれた。
当時の私には、意味が分からなかった。
誰かが私の分もお金を払う代わりに、母もその人の分を払ってるの?どういう仕組みなの?といった、書き出すときりのない疑問が頭の中で山のように積み上がり、渦巻いた。
その答え、山のような疑問の解を最近、やっと理解した。
その解こそ、税金である。
身の回りの、最近ニュースでもよく見る税。
皆が嫌なイメージを持ち、嫌々支払うその税で、国と自治体が医療費を負担してくれていたのだ。
それを理解した私は、眼から鱗だった。
もちろん、医療費だけではない。
今私たちが通う学校、使う教科書、弟の保育園、老後にお世話になるであろう年金、介護。
福祉の面だけでも、こんなにたくさんのものが税金で賄われている。
ああ、なんて素晴らしいものだろう、税金は!
と言ってみたが、私はなぜ、こう思えたのだろう?便利だから?いや、そうじゃない。
税は「助け合い」そのものだと気づけたからだ。
税の魅力を理解せず、税を嫌がり、嫌々支払う人たちは、考えてみてほしい。
私たちはどれだけ、税に助けられたのだろう?どれだけの人を税で助けたのだろう?今、自分が払った消費税で、自分の大切な人のケガや病気を治せるかもしれない。
自分自身の病気をも治せるかもしれない。
そう考えると、税の必要性が自ずと分かるのではないだろうか。
「増税」。
ええ~っ、となると思うが、外国に目を向けてほしい。
税が高い欧米諸国は、大学まで無償化など、福祉がとても充実している。
それを思えば、増税も全部悪いとは考えられないだろう。
この世界は、「助け合い」でできている。
「助け合い」をするから、この豊かな生活を送れているのだ。
このことを忘れずに、国民として、「助け合い」の輪に入っていようと思う。





