和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
地方における税の在り方
太地町立太地中学校 3年
中楠 元己

「なぜ税金を払わなければならないのか。」ずっと疑問だったが、その疑問が払拭されたのが、ふるさと納税による全国の自治体への寄付額が2022年度は9,654億円と3年連続で過去最高を更新した、という新聞記事を昨年、読んだ事だ。

都市部では税金の流出が膨らみ、返礼品競争にも批判はあるが、財政基盤の弱い自治体では、貴重な財源ともいえる。当時、黒字が最も大きかったのは、和歌山県北山村で、人口1人当たり122万2,838円に達した。稼ぎ頭は人口400人ほどの村である。北山村は、紀伊半島の山あいにあり、和歌山県とは接さず奈良県と三重県に囲まれた、全国唯一の飛び地の村である。人口は全国有数の少なさで過疎が進んでいる。

北山村と僕が住む太地町は、数年前から交流が始まり、僕も小学校の時は、北山村で様々な体験をさせてもらった。特に一番思い出深い体験は、北山村に自生する幻の柑橘類「じゃばら」の収穫だ。「じゃばら」は北山村に自生する絶滅寸前の柑橘類で、特産化に向け、唯一残る原木から作付面積を広げ、2001年に自治体では当時異例の果実や加工品のネット通販を始めた事がきっかけで、ふるさと納税にも活かしているのだ。こんな小さな村で、こんな事ができていることに感銘を受けた。北山村はこのふるさと納税の収益で、小学校に英語圏の教員を招くなど英語教育を重視している。

そして僕が住む太地町では毎年、姉妹都市であるオーストラリアのブルームと交流事業がある。今年、僕も参加対象者で、参加出来る事になった。この日の為に、自分なりに一生懸命、英語はもちろん、その他、交流事業に向け様々な勉強をし準備してきた。参加が決まった時は本当に嬉しかった。この交流事業も、太地町の税金が使われている。参加する前から両親からも、太地町の税金で参加させてもらっていることを忘れず、現地の方々と交流し、沢山学んでくるように、と教わった。

和歌山県では、県土の約77%を森林が占めている。これらの森林を県民の財産として守り育て、次世代へ引き継いで行く為、平成19年度に「紀の国森づくり税」が導入された。緑育推進、貴重な自然生態系を持つ森林や景観保全上重要な森林を、県民共有の財産として守る為、公有林化する事業など、様々な取り組みがされている。今年は「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を迎えた今、その税の意義も重要視されてくることだろう。また和歌山県では、特に少子高齢化が進み、社会保障や、その他の税とのバランスや改善策についても、考える必要性が早急に求められている。これからも、様々な世代の人が、豊かで安全な社会で暮らせるために何をすべきか、また税の使われ方にも関心を持つことが必要ではないだろうか。

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