宇口 夢笑
政府開発援助という言葉を知ったのは、父のおかげだ。それまでは、全く未知の言葉でそういう制度があることも知らなかった。
私の父は、ミャンマーをはじめ東南アジアの諸国で仕事をしている、所謂、海外赴任者だ。国内の税金は免除されているが、海外で働くという事は日本の常識では考えられないことが起こる。まずは、税金だが、外国人労働者として本国の人の倍以上の税金がかかるという。日本でもこのようなことがあるのか簡単に調べてみたがそんなことはない。日本は日本人と同じ扱いで税金がかかっている。外国人労働者だからといって税金の負担に大小はない。
税金だけじゃない。ミャンマーは、2001年、安定していたはずの政治が突如クーデターによって、市内のあちこちで爆発が起こる社会となった。ミャンマーはクーデターにより、再び軍事政権が政治の中心となり民主化を逆行する形となった。戦車やピストルが街の中を普通に行き来する国と変貌したのだ。父から送られてくるメールを見ても、花火のように燃え上がる爆弾に不思議と違和感を覚えなかった。こういう事が、普通に起こる世界もあるのだと納得してしまった。
ここで言いたいのは、クーデターが悪い、政治的対立が悪い、ということじゃない。日本が、政府開発援助を通じて日本で一生懸命働いた人々の多くの税金が、軍の資金になっているのではないかという疑問だ。武器購入に血税が費やされているのではないだろうか。少しでも可能性があるのなら、大切な税金を人を傷付けるお金になっていてはいけないということだ。可能性があるからこそ、クーデターが起こった直後に支援を打ち切った国が多かったのにもかかわらず、日本政府は支援を続けた。日本政府の対応に世界は否定的だった。税金の使い方を知らないとこういうところで人道的な問題に日本人も加担していると思われることがあることを知った。
私は、今、まだ15歳なので、義務教育で税金により勉強ができる年齢だ。恩恵に与る立場にあるからこそ、税の使い方を知り、流れを知っていくことがとても重要だと感じている。税金だけじゃなく、経済や社会情勢を学ぶことは重要だと、日本を離れた国で働く父がよく言うセリフだ。日本だけを見ていると誤っていることもあるかもしれない。世界を知り世界の情勢を学び知ることで、日本で何を行うべきかがよくわかると言っていた。いつか、自分が税金を納めるようになったとき、快く払えるような仕組みや国であってほしいと願いながら、自らも学び進めていく必要性を感じている。