若勇 百香
中学2年生の職場体験で、私は紀南図書館を希望し、訪問させてもらうことになった。
幼い頃からお世話になっている図書館だったので親しみやすく落ち着いてお手伝いさせていただくことができた。
ふと休憩中、疑問に思ったことがあった。「この大量の本はいったい誰が買ってくれているのだろう。」絵本でも1,000円以上する本が殆どだ。調べてみると、この図書館には、約24万冊が蔵書されているそうで、その全てが税金で賄われていることが分かった。それから、本だけでなく図書館の建物、机や椅子などの設備、働く人の給料なども税金によって成り立っていることも分かった。
家に帰って母にそのことを話したら、「無料で本を借りることができて本当に有難いことやね。」と言って、私の幼い頃のことを色々話してくれた。私は同じ年頃の子と比べて言葉の発達が遅く、3歳の頃は殆ど会話ができなかった。心配した母が地元の保健師さんに相談すると「読み聞かせをしてあげてください。」とアドバイスをもらい、早速私を連れて図書館に行き、10冊以上借りて家で読み聞かせをした。小さかった私は最初は全く本に興味を示さなかったが、1年2年と読み聞かせを続けていくうちに、じっと話を聞くようになった。それから徐々に言葉も増えて会話ができるようになってきた時は、本当に嬉しかったと言っていた。私はその時のことは覚えていないが、母が読み聞かせを7年間も続けてくれたお陰で小学4年生の時に歴史に興味が湧き、自分から本を借りに行くようになった。本は私に沢山の「言葉」と「知識」を与えてくれた。もし、図書館が有料だったら、行く回数も減っていただろうし、本に興味を持たなかったかもしれない。
今私がこうして、普通に学校に通えて友達や先生、家族と楽しく会話ができるようになったことがどれだけ幸せなことか改めて「税金」に助けられたことを実感し感謝の気持ちでいっぱいになった。
税金は、直接私たちの目に見えるものではないので普段の生活で「助けられている」という感覚はないかもしれない。反対に「とられる」という悪いイメージばかり目立ってしまっているが、税金によってささえられていることは、日々の生活には沢山ある。
例えば、医療費や年金、介護サービス、子育てしやすい環境づくりの公共施設どれを取っても私たちの生活には欠かせない社会保障制度だ。国民一人一人が税金を納めることによって、さまざまな場面で税の恩恵に助けられていることを忘れてはいけない。税は必ず心を豊かにし沢山の人々に笑顔と希望を与え前向きに進めるように後押しをしてくれている。将来、私も働いて少ない額かもしれないけれど税金を納めて感謝の気持ちを次の世代へとつなげ、恩返しをしていきたい。