和歌山県租税教育推進連絡協議会

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公益財団法人納税協会連合会会長賞
小さな命を守る税金
印南町立印南中学校 1年
北村 真優

MFICU、それは私が生まれる直前に、母と一緒に入室していた治りょう室だ。「母子どちらの命を優先しますか。」今から約12年前、ドラマのような選択を家族がせまられた場所だ。最悪の事態に備え、産婦人科、小児科、麻すい科など、たくさんの医師と看護師が集まった。早くみんなに会いたかったのか、慌てん坊な超低出生体重児の私は、生まれてすぐ人工呼吸器を装着しNICUに入室した。3日生きられるかどうか分からない、3日生きられたら1週間。1週間生きることができたら、命は大丈夫。そう説明があったそうだ。生死をさまよいながら、2か月間NICUで過ごした。GCUに移り、全身麻すいにたえることができる状態になった時に眼の手術をした。しかし、麻すいの影響で呼吸状態が不安定となり、その後はNICUとGCUを行ききした。そして、生まれてから3か月後、自宅へ退院というスタート地点にようやく無事にたどり着くことができた。

この期間中、私は税金に支えられていたということを知った。兵庫県内にある病院に入院していた母は、MFICUのある別の病院へ救急車で救急はん送された。この救急車にも「税金」が使われている。さらに、「未熟児養育医りょう給付」。これは、身体の発育が未熟なまま生まれ入院を必要とする場合に、医りょう費の一部を助成してくれる制度だ。私は、この制度を利用することができた。家族の精神的、身体的負担は想像を絶するものだっただろう。そのような中、一般病とうよりも高額なNICUでの医りょう費の負担がかかることなく過ごせたのは、「税金」の支えがあったからである。

当時、医師からは、手術の後遺症で「スポーツ、特に球技はできないだろう。」と言われていた。しかし、中学生になった今、私は親友とペアを組んでソフトテニスができている。ボールが見えて自分で呼吸ができるし、走ることもできている。普通の中学校生活を送ることもできている。治りょうをしてくれた医りょうスタッフだけでなく、「税金」という別のかたちで支えてくれた、たくさんの人たちに感謝を伝えたい。

そして次は、私と同じように生まれてすぐNICUに入って治りょうを頑張っている子どもたちを私が支えたい。大人になって税金を納めるようになったとき、感謝の気持ちと恩返しの気持ちを込めて小さな命を守ることにつなげていきたい。

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