古久保 瑛留
私は和歌山県の田辺市にある龍神村という小さな村に住んでいる。夏休み、私たち家族は高野山を訪れようと、ドライブしていた。途中、休憩に、ごまさんスカイタワーという道の駅に寄った。土産物を見て、帰ろうとすると、入り口のとなりの「2階 及川眠子・文庫」と書かれた小さな看板が目に入った。「最初になぜ気づかなかったんだ。」という驚きとともに、すぐに2階への階段を登った。2階の扉を開けると、休憩所の中に、たくさんの及川さんの蔵書らしきものがあった。そして、小さな黒板に「和歌山県出身作詞家 及川眠子・文庫」と書かれていて、作詞した曲として「残酷な天使のテーゼ」や「淋しい熱帯魚」など誰もが知る曲が書かれていた。好奇心だけが2階の文庫まで私を動かしていたので、私はほんのそのときまで、及川眠子という人物が作詞家であることすら知らなかった。しかし一つのことを知るとともに、つぎつぎと疑問が沸いてきた。まず、なぜここに及川さんの文庫があるのかということ。そして、及川さんとここにどんな関係性があるのかということ。私はすぐにスマホをポケットから取り出し、「及川眠子 龍神村」と調べた。すると、及川さんと龍神村に関する多くの記事が出てきた。2022年4月14日の紀伊民報によると、及川さんが和歌山市の出身で「文化芸術面から和歌山を盛り上げたい」と思っているそうだ。また、及川さんは2021年に事務所本社の登記上の住所を東京からごまさんスカイタワーに移していることが分かった。登記の移転により和歌山県や田辺市に税を納めることになるそうだ。2021年10月15日の紀伊民報によると及川さんが「登記移転先に田辺市を選んだのは、親しい知人がいて再々訪れていることや『龍神村龍神』という文字の良さ、和歌山市にはすでに実家はなく家族もいないことなどから」だそうだ。及川さんはその記事で「外から見ることで良さを感じる半面、和歌山の悪い部分もよく分かる。納税者として、そうしたことを『言わせてもらう権利』を得たと思っている」と話していた。
私は及川さんが納税を楽しんでいるように見えた。納税したい地域に納税し、つながりを深め、その他の活動でも協力しているからだ。
私は、まだ自分のお金で納税したことはない。けれども、いつか自分でお金を稼ぎ、納税するようになれば、ふるさと納税など今ある仕組みを活用し、及川さんのように納税を楽しみたいと思う。そうすることが、申告漏れなどをなくすことにつながると思う。そして、多くの人が納税を楽しむことができれば、脱税なども減り、必要な増税を国民が快く受け入れられるようになると思う。