松本 湊音
2011年11月8日12時40分に僕は生まれた。元気な産声を上げて。しかしほっとしたのもつかの間、血液検査で異常が見られ、急遽救急車で大きな病院に搬送されることになった。NICU(集中治療室)への入院が決まって、母は心配のあまり涙が止まらなかったそうだ。入院中は専門の先生や看護師さんが24時間体制で治療やお世話をしてくれ、両親が毎日面会に来てくれていた。約1週間で退院できるようになったが、医療費の助成制度があるため、実際に支払う額は少なく済んだそうだ。
この話を聞いたときは、「そんなことがあったんだな」とあまり深く考えたことはなかったけど、税金の使い道を知った今、改めて考え直してみた。「たった一つの小さな命を救うためにたくさんの人の力が働き、見えない税金に支えられていたんだなぁ」と感じ、今、当たり前に過ごす毎日に感謝の気持ちが芽生えた。もし、このようなサービスがなかったら自分や家族の生活はどうなるのか?
例えば、救急車。1回の出動で約45,000円がかかると言われており、令和4年度の救急出動件数を合計すると3,000億円以上もかかっていることになる。しかし、病院へ搬送された方の内、45%が軽症であった。救急車を適正に利用するだけで、1,000億円以上の節約ができる。また、軽症の利用者が増えると、重症者への対応が遅れ、結果として救える命が救えないという事態を招いてしまうのだ。救急車出動増加の問題がこのまま続けばこれまで無料だった救急車利用が外国のように有料化されるかもしれず、実際にそのような議論もされ始めている。
最近、日本では社会保障関係費が増加していることも問題となっている。そのために、今自分ができることは、健康でいること。健康であれば、病院を利用する回数が減って本当に医療のサービスが必要な人に適切な治療を受ける機会を回してあげることができるのではないか。
今、僕が直接納めることができるのは消費税だけで、全体から見ればほんの少しに過ぎない。しかし、周りを見てみると学校の教科書や机など、また図書館などの公共施設、ごみ収集、様々な物に税金が使われていることに気付く。これらは僕たちの生活を豊かで安全、便利にしてくれている。自分ができることは限られているかもしれないけれど、まずは自分の身近なものを大切にすることから始めていきたいと思う。そしてこれからもずっと心がけていって周りの人にも伝えていきたい。
祖父母や両親が一生懸命働いてきて納めてくれた税金が、今の日本を支えている。いつか自分も社会に出て働き始めたときは、しっかりと納税をしてまた次に続く子どもたちの未来を明るくしていきたい。

