和歌山県租税教育推進連絡協議会

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国税庁長官賞
税金で繋ぐ未来へのバトン
和歌山大学教育学部附属中学校 3年
北野 伊武季

きらりと光る笑顔。真剣な眼差し。全力疾走。競い舞う赤、黄、青、緑色の応援旗。今、和歌山大学附属中学校の運動場では附中杯、陸上競技と応援合戦の創作ダンスが3学年ブロック対抗で行われています。学生達は砂だらけになり、一致団結、優勝目指します。そんな学生達を運動場の中心で一本の「根上がり松」が親のように見守っています。根上がりの高さ3.5m、根回りは8mあり、樹齢500年と言われているクロマツです。いつ見ても立派で安心感を与えてくれます。それがあたり前に過ごしていたけれど、なぜ運動場の中心にポツンと一本?。その上、きれいな状態をずっと保つことが出来ているのか、疑問に思い調べてみることにしました。

かつて、運動場は「岡山砂丘」と呼ばれ、和歌山湾の海浜でクロマツ林がありました。豊臣秀吉が和歌山城を築くうちに、砂丘は姿を変えていきます。そうして、クロマツの根元の砂が流され、根上がり松となりました。1958年に和歌山県指定文化財に指定されましたが、マツクイムシ被害によって、1996年に伐採され、一本のみとなりました。

最後の一本となった根上がり松は、保全事業によって守られています。費用の約60~100万円は、和歌山県の税金と小中同窓会から拠出されています。これには、未来への願い、人の気持ちがあり、価値のあるものになっています。

このように僕の周りにあたり前にあるものは、社会によって支えられていることに意識が向きました。僕たち中学生は教育費112万円のサービスを受けています。だから、それに対して子供の僕たちもより一層気を引き締めて、期待されていると思って授業に臨もうと思います。

国の収入は消費税、所得税、法人税などで、支出は社会保障や地方交付税交付金などです。国や都道府県、市町村は僕たちが豊かで安心した暮らしができるように、いろいろな公共サービスを行っています。

一歩、僕が家の外に出ると、道路、信号、公共の建物、公園、病院…などがあることが分かりました。これが税金のおかげであり、この税金で安心できる場所が保たれているのだと実感しました。

僕が働いて、納税する時が来たら、高齢化率40%以上の自治体が全国で4割を超えてしまいます。さらなる税金負担がかかるでしょう。それに対して、税金の使い道の再考と税収アップを今から僕たちも大人たちと考えていかなければならないと思います。

「秋風の吹上に立てる白菊は花かあらぬか浪の寄するか」と古今集には根上がり松から見た運動場の光景が記されています。500年後の未来へも気持ちのバトンを繋げられるように、税金を考え社会みんなでシステムを支えていくことが大切だと考えます。

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