谷口 未明
私はとても本が好きで、小さいころから母に図書館へ連れていってもらっては、たくさん本を借りて読んでいました。絵本から今の私が読んでも難しそうな本まで、数えきれないほどたくさんの本があり、誰も大きな声を出すことなく、本のぬくもりと静けさのただよう図書館は私にとって地域の中で一番魅力的で落ち着ける場所であり、私にとってなくてはならない場所です。
インターネットの検索エンジンに「図書館」と入力すると、「税金の無駄遣い」というワードが候補に出てきます。「本屋があるから図書館はなくてもいい」「図書館をなくしてその税金を別の場所に充てるべき」と考える人が一定数いるようです。確かに「本を借りる」という点では、借りたい本があってもなかなか借りられないこともあり、本屋で買ったほうが手っ取り早くて便利かもしれない。また、読書は娯楽であり、必ず必要なものではない。しかし、図書館はただ本を貸すだけの場所ではなく、様々な分野の調査研究の補助、知的財産の収集・保存や地域のコミュニティをつくる場としても役割を果たしています。このように図書館はよりよい教育や地域活性化をもたらしてくれるものだと思い、一概に「税金の無駄遣い」とはいえないと考えます。
実際、私は本を借りて読むためだけに図書館へ行くのではなく、様々なイベントに参加するために行くこともあります。この前も、地域の図書館で開催されたみんなで映画を観るイベントに参加しました。以前にも観たことのある映画でしたが、参加されたいろいろな年代の方と意見を交わすことができて、とても有意義な時間になり、イベントに参加して良かったなと心から思いました。図書館では他にも本の感想を言い合ったりと皆で「図書館」という空間を作っているのです。一緒に一つの空間を作るということも地域コミュニティの一つなのではないでしょうか。そしてその空間を残すためにも図書館に税金を使うのは無駄なことではないと思います。
私が図書館で本やイベントを楽しむことができるのは、税金のおかげです。きれいな水を毎日使えること、ゴミの収集、道路の整備から新型コロナウイルスのワクチン無料接種など税金が使われているものの例を挙げるときりがありません。私は今まで税金は払うだけのものだと思っていましたが、私たちに快適な暮らしとして還元されているのだと知りました。普段意識することはあまりないけれど、私たちの生活の当たり前は税がつくっているのだと図書館で税について調べて実感しました。私が払う税金はまだわずかですが、それが誰かの役に立っているのだと思うと少し嬉しくなりました。