和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
あたりまえの生活
串本町立串本中学校 3年
藤野 遥

私には障害を持った兄がいる。重度心身障害といって、重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複している。兄は自分で起き上がったり、歩いたりすることができない。だから、座ったり移動するための座位保持装置や体幹、四肢を矯正し支えるための装具などを利用し、たくさんサポートされながら暮らしている。装具はその人の体に合った形でなくてはならず、ほとんどがオーダーメイドだ。そのためとても高価で、座位保持装置だけでも70万円近くするらしい。兄の生活の質を高めるためには、こうした装具をそろえ、成長に応じて作り換える必要がある。しかし、とてもお金がかかってしまい、負担が大きい。これを支えていたのは、税金だった。

兄は特別児童扶養手当をもらっている。そのおかげで、小さい頃から県外や遠くまでリハビリに通ったり、長期の入院をしたりしてきた。また、重度心身障害児者医療費受給者証や身体障害者手帳を持っているので、医療費は無料で、装具も1割負担で購入できる。これらは、国民が払っている税金で賄われていた。私は今まで、なぜ商品の値段以上にお金を払ったり、住んでいるだけでお金を払わなければいけないのだろうと思っていた。税金のおかげで兄と一緒に暮らせていることも知らずに。税金は助けを必要としている人を支援するためにあるのだ。

もちろん、そのためだけではない。税金は医療や年金、介護といった社会保障、そして町や道路の整備などに使われている。私にも児童手当が支給され、医療費も無料だ。勉強をするためのお金も負担されている。朝、整備された道を通って学校へ行き、勉強をして友達と過ごす。けがをしたり病気になったら、病院で診てもらう。地域のおじいちゃん、おばあちゃんも元気に生活している。私たちの当たり前の暮らしは、たくさんの税金によって支えられている。税金がこんなに身近にあったことを、私は知ることができた。

日本人には、税金を納める義務がある。それは、みんなが幸せに暮らす世の中のためだ。たくさんの人達に支えられて、私は今まで生きてきた。私はこれからも、しっかりと税金を納めていこうと思う。誰かのために。そして、自分のために。

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