和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
幸せの材料
有田市立保田中学校 3年
佐原 詩織

私の生活はいたって普通である。学校に通い、ご飯を食べ、休日には買い物に行ったり、市立図書館で過ごしてみたり。何という事もない。けれども幸せな日々。私は、それを成り立たせているものが何なのか知っている。そう、税金である。

税金には多くの使い道があり、どれも社会に欠かせないものばかりだ。例えば、日本ではゴミの回収も、救急車を呼ぶのも、警察のパトロールも、すべて無償で行われている。考えてみれば、これはすごいことだ。手間も費用もかからないはずがないのに、人々のためにここまで尽くしてくれるなんて。そんな面では、私たちは恵まれていると言える。税金があることで、誰であろうと必要なときに必要なサービスを受けられるのだ。

一方で、税金は不平等だと主張する声もある。収入によって納める額が違うことや、税によるサービスを受けない人も納税する必要があることが理由らしい。自分の利益と損失を十分に見極めてみれば、その意見は確かに的を得ている。サービスを受ける頻度は同じくらいなのに納税額に差があっては不平等だし、納税額が同じなのにサービスを受ける量が違っていても同様である。しかし、思うのだ。税金とはそういうものではないだろう。個人で、1人で完結させるものではないだろう。現代日本で、社会集団に属さずに生きていくのは不可能に等しい。社会という枠組みがある限り、人は1人では生きられない。だから、繋がる必要があるのだ。姿を見たこともない他人とも、遠いどこかで支え合わなければならない。誰かの納めた税が、自分の役に立つ。反対に、自分の納めた税が、誰かを支える。これが税の在り方だ。社会で生きるということなのだ。

税金とは社会の一員としての会費であり、一種の社会貢献である。今の私たちは、お互いに生かし合っている状態だ。幸せな日々はあって当たり前のものではない。税を納める人。サービスを実際に行動に移す人。その他、関わるすべての人がいるから今がある。誰が欠けても今は成り立たない。勿論私自身もそうだ。だから、自覚する必要がある。自分が欠けてはならないのだと。社会の均衡を保つために、自分の力が求められている。私はそれを誇りに感じる。納税によって人々の役に立てるのなら本望だ。そして何より、自分の役にも。この幸せな日々をいつまでも続かせる。それこそが納税の一番の目的なのかもしれない。

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