和歌山県租税教育推進連絡協議会

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近畿納税貯蓄組合総連合会会長賞
たった2パーセントの力
由良町立由良中学校 3年
川口 奏

2019年10月に、消費税が8パーセントから10パーセントまで引き上げられたことを覚えていますか?それは私が中学1年生の時でした。私たち小・中学生は、高校生や大人と違い、「自分らの力で働き収入を得る」ということをまだすることができないとされる年齢です。お小遣いという何千円にも満たない所持金の中で必死にやりくりして自分の欲しい物を購入している私たちには、2パーセント、たった2パーセントのアップでも、大きな負担となってのしかかりました。ですが、考えてみると、私たちにとっては大きい2パーセントは、大人の世界でいえば小さい額のはずです。「たった2パーセント引き上げたところで何が変わるんや。」そう悪態ばかりついていた気がします。それは、どこか「自分は税に支えられていることなんてそんなにない。」と、「支えている側だ。」と、思い込んでいた節があった故だと思います。それから1年後、私の下腹部に腫瘍が見つかり、内視鏡手術を受けることになりました。私には(手術費用は高額)という漠然とした考えがあり、それに入院費なども上乗せされるとなると相当な負担になるはずです。私は思わず母に「大丈夫なん?お金」と聞きました。すると母は笑って、「何言うてん、あんたの手術費タダやで。」と言いました。「え!?どういうこと!?」帰ってネットで調べてみると、私の住んでいる由良町では、「子供医療費助成」というものがあることが分かりました。その制度は、対象となる年齢(ここでは18歳未満)が医療機関にかかった際に、その保護者に対して、保険適用自己負担分を助成するものだそうです。私はあまり病院にかかることがなく、この日、生まれて初めてその存在を知り、「税に支えられている」ことを実感しました。又、この制度のおかげで親への申し訳なさが半減し、安心して手術を受けることができました。それから更に1年後、私たちの中学校に、10万円もする学習用タブレットが人数分配布されました。皆がはしゃぐなか、先生が教室に入ってきて言いました。「このタブレットは、みなさんのお母さんやお父さん、地域の方々が苦労して払ってくれている税金で買っていただいたものです。くれぐれも大切に扱うように。」と。すでに1年前の手術の件で税の重要性について理解したつもりで、「私が払った消費税の10パーセントも、誰かのタブレットになっているのかな。」と少しのワクワクすら覚えていた時、隣から、「これは消費税が8パーセントから10パーセントに引き上げられたおかげかもしれんなぁ。」という声が聞こえてき、ハッとしました。無意味だと思ったこともあった、たった2パーセントでも、大きな違いをもたらすのかもしれないなと気付かされました。そしてこれからも私は10パーセントを納め続けるでしょう。私の2パーセントが、誰かの役に立つことを願いながら。

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