和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
今、知ってほしいこと。
和歌山信愛中学校 3年
佐藤 栞里

「病院に辿り着いても、診てもらえない。」2ヶ月ほど前に私が所属しているクラブの活動にてカンボジアでボランティアを行っている女性にオンラインでお話を伺った時の事だ。その言葉に、私は驚きを隠せなかった。どうしてそのような事態が起こるのか、全く分からなかった。

女性によると、「カルテを作る事も、検査も、診察も全てお金を払わないとできない。薬を作る事もお金がかかる。そんな大金を持っていない人々がたくさんいて、遠くの地域から大変な思いをして病院へ来ても玄関しか入ることができない。」 私はその様子を想像してみたが、どうしても考えられなかった。それは、日本の環境を基準にしてしまったからだろう。日本では病院に行っても医療費が高額で診てもらえない。という場合はほぼない。なぜなら。税金が助けてくれるからだ。税金のおかげで私たちが負担する医療費が安くなるのだ。もし医療費が全額自己負担だったら、私は今のような生活を送れないと思うくらい病院に行く事が多い。

私は小さい頃からアレルギー性鼻炎のためにダニやホコリ、花粉に悩み、母は幾度となく私を病院に連れて行ってくれた。そこで当たり前のように診察を受け、帰る際には必ず薬が入った袋を持っていた。今も定期的に病院へ通い、毎日薬を服用する必要がある。鼻炎のみならず、肌が弱く湿疹が出やすい体質だから塗り薬をもらわないといけないし、ケガをすることもある。たった15年の人生の中で、何度病院へ行き、どれだけの薬をもらったか分からない。それに加えて一度入院と手術も経験した。その当時、私は入院と手術にはさすがにお金がたくさんかかるだろうと思い、ずっと心配していた。

あれから何年か経って、医療費の一部は税金が助けてくれることを知った。私の場合も同じだったそうだ。税金がなかったら、今までにかかった医療費は確実に高いだろう。今も以前と変わらず幸せな毎日を過ごすことができるのは、色々な人が納めてくれた税金に支えられているからだと気づき、感謝の気持ちでいっぱいになった。

同じ人間でも、日本では病院で診てもらって救える命が、カンボジアではそれができずに救えない。お金という大きな壁がある限り、中学生の私たちがどんな事をしても今の状況を変えることはできない。だからこそ、みんなに知ってほしい。カンボジアだけでなく、外国では多くが日本のような制度がないこともあって、医療費が高く、十分に治療ができない人々がいる事。そして、税金のありがたさを。

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