和歌山県租税教育推進連絡協議会

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国税庁長官賞
税は人のためならず
上富田町立上富田中学校 3年
中内 謙也

「国税収過去最大60.8兆円」

7月1日の新聞を読んでいた僕は、この見出しを見つけ、衝撃を受けた。昨年は新型コロナウイルスの影響で、外出自粛や休業要請が出され、経済が回っていないと思っていたからだ。どうして国の税収が過去最大になったのだろう。詳しく読み進めてみた。

1つ目の理由は、消費税を引き上げた効果が1年を通して続いた、初めての年だったということだ。消費税を8パーセントから10パーセントに増税したことは、税収に大きく影響した。

2つ目は、コロナ禍で経済活動が停滞したにもかかわらず、法人税収の大きな落ち込みがなかったという理由だ。家にいる時間が多くなり、より快適に暮らしたいと思う人が増えたことで、家具や家電、ゲーム機が売れたし、リモート用の電子機器の売り上げも上がった。外食に行く人は減ったが、スーパーマーケットやネット通販の消費は増えた。サービス消費の落ち込みから、減収になった企業があった一方で、モノの消費が増え、増収になった企業もたくさんあり、法人税収は予想以上にあったそうだ。

3つ目は、所得税収も大幅に減少しなかったという理由だ。政府の休業補償給付金などの経済対策が下支えしたおかげで、所得があまり減らなかったし、失業率も抑えられた。このように、国の税収の大きな部分を占める3つの税収が安定し、増収につながった。

この3つの税についてはよく耳にする。僕の家が、小さいながら小売業の会社を営んでいるからだ。毎月税理士の先生に帳簿をチェックしてもらい、適正な会計処理に努めている。お客様から預かった消費税や、給料から差し引く所得税、年間の利益から出る法人税をきちんと納めているそうだ。

また納税は義務だけど、助け合いでもあると教えてもらった。公共サービスを受けられることはもちろん、今日のコロナ禍のような想定外の状況になった時、大変な人や企業には税金を使って補助金や給付金が支給される。納めるべき時にきちんと納税し滞納していなければ、いざという時に助けてもらえる制度がたくさんあるそうだ。昨年度の税収の一部も、そのような人たちに支給されるだろう。

僕は、「情けは人のためならず」とういうことわざを思い出した。人に思いやりをかけておけば、結果としていつか自分にも良い報いが訪れる、という意味だが、税金も同じだと思う。普段は社会のために税金を納めるが、必要な時にはその税金から助けてもらえる。また何より、税金をきちんと納め社会に貢献している、というすっきりした気持ちになれる。「税は人のためならず」なのだ。

今回の新聞記事から、納税の大切さを学んだ。僕も将来、納税者となる。互いに助け合う社会のため、自分自身のために、税についてよく学び、義務を果たしていきたい。

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