和歌山県租税教育推進連絡協議会

ホーム税に関する作文税に関する中学生の作文一覧 > 中学生の作文表彰作品
和歌山県知事賞
道路インフラと税金
上富田町立上富田中学校 2年
中内 謙也

「大雨による川の氾濫や土砂災害に警戒してください。」

毎年、全国で大雨による災害が発生する。今年7月の大雨では、熊本のような大きな被害はなかったが、僕の住む町の近くを通る高速道路の斜面が崩れ、通行止めになった。普段当たり前に通っている道が急に通れなくなると、とても不便で、生活に欠かせない、とても大切なものだったのだと改めて気付かされる。

災害が起きた時、政府は復興するためにたくさんの税金を投入する。特に道路の復旧にはいち早く取りかかる。なぜなら、救援物資を運び、救助活動を早急に始めるために必須だからだ。一方で「道路インフラの整備にたくさんの税金を使うのは無駄だ」という意見もある。本当にそうだろうか。災害が起きるとそうは言っていられない。道路インフラと税金について考えてみようと思う。

まず、道路インフラには、人々の快適な暮らしを支え、地域の経済活動を活発にする役割がある。道路整備が遅れ、交通麻痺が起これば、物流が滞ってしまう。郵便物や宅配物が確実に届かないかもしれないし、スーパーやコンビニに新鮮な食料品が届かないかもしれない。地方につながる唯一の高速道路が通行止めになれば、観光客は来ることができず、地域経済に影響を及ぼすことも考えられる。

また、大規模災害に備え、迅速な救助・救援を可能にするという役割もある。今後起こる巨大地震のため、大きな揺れに耐えられるトンネルや、津波や土砂崩れの影響が少ない道路を確保する必要がある。

このように、重要なインフラである道路の整備は、民間の事業としては成り立ちにくく、ほとんどの場合、国や自治体が行い、税金によって支えられている。そして大変なことに、高度経済成長期に建設された多くの道路が、今では満身創痍の状態と言われている。道路の損傷が事故を呼び、事故が道路の損傷を呼ぶ悪循環もみられるそうだ。大地震に耐えられないものも多くあるらしい。今後、道路維持管理のための税金は今よりも必要になる。しかし、人口減少・少子高齢化が進み、税収の減少や社会保障費の増加が予想される日本では、道路インフラのために多くの財源を確保することはとても難しい。

将来にわたり社会が発展するため、大規模災害に備えるためには、道路インフラを新設することに加え、支出を抑えながら計画的にメンテナンスすることが重要だと思う。高度経済成長期につくられた道路も、きちんと整備すれば、さらに百年後まで残すことができると言われている。

人とモノの流れを担う生命線、命の道ともなる道路インフラを、限られた税金の中でどのように守り、残していくか、僕たちも真剣に考えていかなければならない課題だと思う。

税に関する中学生の作文一覧へ戻る