和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
繋がり
串本町立西向中学校 3年
岡野 明音

「税金を、甘く考えてはいけない。」そう強く思わされた。

こう考えるようになったのは突然の出来事がきっかけだった。私が小学6年生のとき、父が仕事へと向かう途中に交通事故で亡くなったのだ。あまりにもいきなりの事に目の前が真っ暗になり、途方に暮れた。ずっと家族を支えてくれていた一家の大黒柱を失うということは今までに経験したどんな出来事よりも大きく、悲しいことだった。

事故からしばらく経って、私は母から「遺族年金」という、働き手を亡くした際に支給される年金を家族の中でも配偶者である母と20歳未満である私が受け取れるということを聞いた。初めて聞いた時はそのような制度があるのかと思っただけだったが、調べてみるとその制度はどれだけの額を支給されても所得税や相続税などの税金がかからないということが書いてあった。普通では払わなければいけない税金を払わなくていいなんてとすごく驚いた。だが、この制度を初めて知った人の中には「税金がかからないなんて、不公平だ」と思う人もいるだろう。きっと何も知らなかったら私だってそう思うに違いない。

だからこそ、私は本当に感謝している。所得税などの税金がかからないというのも、言い替えれば国民みんなが普段きちんと税金を納めてくれているおかげでもあるのだ。だから今、私達は大切な父を亡くした後でも幸せに生活していけている。生きていくことができるのだ。また同時に、税金がどれだけ大切な役割を果たしてくれているのか、というのを父の死を通して身に染みて感じることができた。

そして、国民みんなに救われていることを知ったとき、知らない所で私たち国民は税金によって繋がっているのだと嬉しくなった。

私がこの遺族年金を受け取ることができるのは20歳になるまでだ。それからはきちんと自分で税金を納めることになる。ただ「国民の義務だから税金を納める」のではなく、今まで他の人が繋げてくれた幸せを今度は自分が再び繋げていくんだという気持ちを込めながら税を納めていきたい。大切な家族を失い塞ぎ込んでいた自分が、前を向いて今は笑顔で過ごせているように、私と同じような立場の人がいたらその人達を私が笑顔にさせたいと強く思った。

私はこの遺族年金制度と税金の恩恵を受けながら大人になってゆく。いつも「ありがとう」の気持ちを忘れずに責任感あふれた、立派な大人になると誓う。私は今日も明日もその先も、まっすぐ生きていく。いつか、私も誰かに幸せを繋げていけるように。

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