嶋田 雅樹
「いってらっしゃい」迎えに来たデイサービスの車に乗せてもらって出かける祖父を、去年までは、よく見送っていました。しかし、去年の秋、その祖父が亡くなりました。祖父は、僕が、小さいころから、とてもやさしい人でした。しかし、年をとり、入退院を繰り返すようになりました。祖父は、元気なときは、ずっと農作業をして働いていました。デイサービスに行くようになったのは、あまり動けなくなってからです。デイサービスでは、リハビリをしたり、お風呂へ入れてもらったりしていたそうです。このような介護サービスを受けるときは、介護保険から補助されるので自分で負担して支払う金額は少なくてすむと聞きました。
介護保険とは、「高齢者に介護が必要になったとしても、住みなれた地域や家族で自分らしく生活できるよう、また、介護をしている家族の負担が軽減されるよう、みんなで保険を出し合って社会全体で介護を支え合う仕組みとして、二〇〇四年に作られた制度」だそうです。
父は、介護保険が始まったとき、当時九十歳をすぎて百歳近かった曽祖母も、介護保険を払わなければならないと聞いて驚いたと言っていました。介護保険は、四十歳以上の人が払い、六十五歳以上の人も全員が所得に応じて払っているそうです。この介護保険の財源の五〇パーセントに税金が入っていると役場の健康推進課のパンフレットに書かれているのを、たまたま目にしました。
税金は、私たちの周りでいろいろなことに使われています。例えば、警察や消防、道路の整備や災害対策、学校などにです。その中でも、一番の支出は、社会保障費とのことです。
社会保障とは、「私たちが安心して生活していくために必要な公的サービスのことで、医療、年金、介護、福祉などのしくみのこと」です。介護保険に使われる税金は、ここに含まれるのだと思います。
祖父は、介護保険のおかげで、デイサービスを利用することができました。そして、動けない祖父も安心してお風呂へ入れてもらって帰ってくることができました。家で、お風呂へ入れてあげるのは、とても難しくてたいへんなことです。とてもありがたいことでした。
今、日本は、少子高齢化が進んでいるとのことです。少子高齢化が進むと、社会保障の費用が増えることになり、しかもその費用を負担する若者が減っていくということです。
これからも、祖父がしてもらえたような、社会保障が続くような社会を維持するには、これからの税金の在り方が、たいへん大事だと思います。安心して生活できるように、税金を使ってほしいです。