林 望美
五歳の誕生日を迎えられずに、はじまったばかりの人生を終えてしまう子どもは、年間八百十万人。その半数近くが「肺炎」「下痢」「マラリア」の3つの理由で命を落としています。日本では当たり前に予防・治療できることが、当たり前でない世界があるのです。
西アフリカ・トーゴの村で、茶色く濁った水を飲む少年。やっとの思いで手に入れた水は、命と未来を奪う水になってしまうのです。毎日八百人もの子どもが、この茶色く濁った水や不衛生な環境が原因で命を落としています。私は、この事実を知って、やり場のない悲しみが胸いっぱいにこみ上げました。
日本はどうでしょうか。蛇口をひねったら茶色く濁った水が出て、それを飲み水に使ったり、洗濯物を洗ったりしていますか。ちがいますよね。実際に照らして考えてみると、日本と大きく異なっていることが非常によく分かります。
日本と大きく異なっている点は、水の水質だけではありません。今、小学校に行きたくても行けない子どもは世界で約六千三百万人。また、先生がいない、教科書が足りないなどの理由で途中でやめてしまう子供もいます。もしも、学校に行けないとなると、自分の名前が書けない、文字の読み書きもできないなどの問題が生じます。
日本では、このような理由で学校に行けないということを聞いたことがありません。それほど日本は、教育制度が非常に整っているということです。このような環境で、私たちが生活できるのは、税のおかげです。人々が税を納めてくれているので、学校で勉強することができています。しかし、世界では学校に行けず、家族のために働いている子供たちがいること。そして、勉強する意味が私たちからするとほんの小さな幸せだとしても、人によっては大きな大きな幸せに感じるということを忘れてはなりません。
今までの私は、「税金をなぜ払わなくてはいけないのか、誰の役に立っているのか。」と考えたことがありましたが、見えない所で、私たちのために税金が使われているのを知ると考え深いです。また、世界の子どもたちの小さな命を救うために税金が使われるべきだと私は思います。
この八円が、必ず誰かを支え、誰かの命を救えることができ、自分の生活を豊かにしてくれると考えると、税金に対してなんの抵抗もなく気持ちよく払うことができます。税金ほど素晴らしいものは他にありません。私はそう信じています。