和歌山県租税教育推進連絡協議会

ホーム税に関する作文税に関する中学生の作文一覧 > 中学生の作文表彰作品
国税庁長官賞
税の力で交通事故削減を実現させたい
和歌山県立向陽中学校 3年
小谷 高司

税が、誰のために、何のために使われているか、今まで考えたことがなかった。しかし最近、同じようなニュースを度々耳にしたことで、税制度の必要性を初めて認識することになった。

それは、高齢ドライバーによる死亡事故のニュースだ。警察庁が発表した年齢別死亡事故件数によると、運転者の年齢が高齢になるにつれて、事故件数が増加する傾向にあると分かった。その理由として、加齢による身体機能や認知機能、判断の速さの衰えが事故の発生につながっている、と考えられている。そこで現在、国や地方自治体で、運転免許の自主返納を促している、ということも耳にした私は、大伯父から聞いたある話を思い出した。

大伯父は現在八十代で、京都府に住んでいるのだが、お盆やお正月になると、和歌山県の私の祖母の家に来て、一緒にご飯を食べたり、様々な話を聞かせてくれたりする。そしてこの前、大伯父から運転免許は七十代で自主返納した、という話を聞いた。大伯父は、
「早いうちに免許を返納することで、誰かに迷惑をかける心配が無くなる。」
と言っていた。その時、私は大伯父の考え方とそれを実行に移す行動力に驚いたと同時に、返納後の交通手段はどうしているのか、気になった。そこで、大伯父に京都から和歌山までどうやって来ているのか尋ねると、以前までは車を運転して来ていたのが、最近では電車に乗って来ているとのことで、その電車の運賃は大伯父の自費であると分かった。

このことを聞いた私は、実際に自治体等が免許返納後の生活をどのように支援しているかを調べることにした。すると、現在はほとんどの自治体で、公共交通機関の運賃割引が受けられる施策を設けており、その他にも車を使わなくても快適に過ごせるよう、様々なサービスを提供して支援している自治体もあると分かった。しかし、地方部ではまだ十分な支援が受けられておらず、車なしの生活に不安が残る人が多くいることも事実である。

そこで私は、全ての人が免許返納後も安心して生活できるようにするために、国全体で税金を使い、支援していく必要があると考える。税は、国民全体が平等に、安心して暮らせるためにあると、私は思う。だから、私たち一人一人が税金を納めることへの理解を深め、税金を納めることの重要性を認識することが大切であり、私たちの思いをくみ取ってくれる国でいてほしいと、私は強く思う。税の力で交通事故を減らせる社会が、近い将来日本で実現されることを、私は信じている。

税に関する中学生の作文一覧へ戻る