桐本 愛菜
「税金。」たった四文字の言葉にあなたはどのような想いを抱いているだろうか。
今年の六月十八日、最大震度六弱の揺れが大阪府北部をはじめとする広い範囲で観測された。私の住んでいる地域も震度三の揺れにみまわれた。私は、この大阪府北部地震で七年前の恐ろしい記憶がよみがえった。
「ガタガタガタ…。逃げろー。」
そんな凄まじい光景をテレビで見たのは小学二年生のときだった。二〇一一年三月十一日、マグニチュード九・〇、震度七の日本周辺における観測史上最大の地震が東日本を襲った。この地震により巨大な津波が発生。これに伴い福島第一原子力発電所事故も起こり、一万八千人以上もの死者、行方不明者が出た。一瞬にして町をのみこんだ「東日本大震災」。そう名付けられた巨大地震はあまりにも多くのものを奪っていった。人々の心も未来も。
そんな悲劇から二年、被災地の復興の一つの手助けとなった取り組みがある。みなさんは、「復興特別税」という税金を知っているだろうか。私は初めて耳にした言葉だった。復興特別税。それは、東日本大震災からの復興施策に必要な財源を確保するために課されることとなった日本の税金である。所得税、法人税、住民税に上乗せする形で。なかでも復興特別所得税は平成二十五年から平成四十九年までの二十五年間にわたり、基準所得税額の二・一パーセントの金額が課税されている。そしてこの税金は、仮設住宅の建設やがれきの処理などに使われたそうだ。
東日本大震災から七年が経過。「被災地は今どんな状態なのか。」そう気になり調べてみた。すると最大で約四十七万人いた避難者は七万人にまで減少したそうだ。それでもなお約七万人もの避難者がいるという事実に改めてあの震災の大きさを実感させられた。私は思った。「あの変わりはてた町の姿をここまで変えることは市の力だけでは不可能だったであろう。税金が町を救う光となったのだ。」と。復興特別税は今、この瞬間も町全体を支え続けてくれている。
復興だけではなく、税金は私達の生活に必要不可欠である。例えば学校や警察、消防、病院、ゴミ処理。これらの全てが税によってなりたっているのだ。「税なんていらない。なくなってしまえばいい。」そんな想いを抱いている人もいるだろう。一度考えてみてほしい。「もし税金がなくなったら」と。医療費が全額自己負担。町の安全が守れない。町がごみだらけ。今まであたり前だった幸せ、税金が私達の生活をより便利により豊かにしてくれていることに気付くはずだ。
「税金」それは人を笑顔に、幸せにしてくれる。私は、税金という名の小さな手助けに参加し、今まで受けてきた税金、支えてくれた人々に感謝したい。そして将来、自分の手で稼いだお金で税金を納められる、そんな立派な人間に成長したい。