和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
災害と税
上富田町立上富田中学校 3年
 田中 颯太

山が崩れ、川が氾濫し、土砂が大量の流木と共に家々をなぎ倒していく。九州北部を襲った七月五日の記録的な豪雨の様子である。住宅には土砂が流れ込み、周囲の道路は土で覆われ、一部は崩れ落ちている中で、着の身着のままで避難所に身を寄せた人々の恐怖と不安で疲れ切った表情に、言葉に出来ない苦しみが僕の心を締め付けた。家族、家、大切な沢山のものを一瞬にして失った人々が再び笑顔になれることがあるとしたら、一日も早く元の生活を取り戻すことだろう。日本は自然災害が多い国である。人は大災害の前では無力だ。災害と人々の暮らしへの税の関わりについて調べ、勉強し考えてみたいと思う、

本来、被災した自治体が自らの予算を取り計らって復旧させる必要があるが、財政力には限界があり、異常気象により集中的に被害を受けた場合には、復旧に長期間かかることが予想される。そんな時、公共施設の機能がうまく働かなかったりすると、生活環境の悪化などが原因で、人口の流出など地域の衰退を招きかねない状況になる。そのような事態を防ぐために、国が財政援助を行うことにより、早期の復旧を推し進め、人々の生活の安定を最優先に考え、貢献することを目的とした公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法がある。学校、病院、鉄道、ライフラインの復旧を含むこともあり、国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設の復旧に使用されている。一九五一年に負担法に基づく制度が出来て以降、全国で約三百万箇所の災害の復旧が行われている。それに社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生の四つを基本的な柱として整備されている社会保障制度がある。生活が困難になったときに、国が生活の保障をする仕組みである。

このような事業は法律と綿密に関連し合って、すべて税金が活用されている。大規模でかつ生活の隅隅まで行き届いた事業を成し遂げ、また国を安定させ、発展させるために税は欠かせないものである。税の役割を知り、とても心強く感じた。人間は一人では生きていけないので互いに助け合って生きることこそが、税の役割に結び付いているのだと思う。税について深く考えたことはなかったが、僕たちの生活は、税によって守られていることがよく理解できた。九州北部の豪雨で被災された人々も、必ず法律と税が守っていてくれるので、今の辛く厳しい状況を力を合わせ乗り越えてほしいと願っている。日本国憲法の社会権の内容に、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利として生存権がうたわれていて税の役割の本義が生かされているからである。同時に、納税の義務を定めている。近い将来僕たちも納税者になる。納税者になったときに、税の本質を正しく認識し、税の使い道に十分に関心を持ち、社会や生活を安心で豊かにするための一員になりたいと思う。

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