和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
祖父のセニアカー
紀の川市立粉河中学校 3年 城山 はづき

学校から帰ると倉庫にバイクが置いてある。「誰のバイク?」と尋ねると、「バイクとちがうで。おじいちゃんのセニアカーやで。」と母がこたえた。よく見ると四輪あった。

私の祖父は九十三歳。長生きしてくれてうれしい。同年代のお年寄りと比べると、かなりしっかりしている。けれど、やはり高齢なのと持病があるので入退院を繰り返している。今年の三月には、胆管結石という病気で倒れ、入院した。すごく苦しんでいたので、家族のみんなは退院して家に帰ってこれるのだろうかと、ハラハラしながら病院に付き添った。みんなの願いが叶って、祖父は手術を乗りこえ、無事に家に帰ってくることができた。

しかし、入院前より足が重くなり自分の思うように歩けなくなってしまった。我が家は坂のまた坂の上にある。祖父は陸の孤島にいるかのようになってしまった。

そんなとき、祖父を見に来てくれたケアマネジャーさんがセニアカーのレンタルを祖父に勧めてくれた。それが家に置いてあったセニアカーだったのだ。セニアカーに乗り、祖父は坂を下って畑を見に行ける。農協へも行けるし、坂も上ってこれる。祖父は元気を取りもどした。電動のベッドも借りることができた。

祖母は八十九歳。祖母も最近、足が重くなってきたという。要支援の制度で足のリハビリに通えるのでありがたいと言っている。このような社会保障は、税金によって支えられているものだ。私は、祖父母から介護支援の話をいっぱい教えてもらった。『居宅介護支援』の冊子も見せてもらった。そこには、サービスの内容や利用料金、交通費のこと、緊急時の対応などが説明されていた。また色々な相談もできることが分かった。社会保障について調べてみると、今は、ほぼ3人で1人の高齢者を支えている働き手と高齢者の比率が二〇五〇年には、1.2人で1人の高齢者を支えていかなくてはならない。日本の社会保障の負担率が低いのは、公債の発行により負担を将来に先送りしているからだということも初めて知った。税というと、今までは消費税や相続税など自分が払う税のことがまず頭に浮かんでいたが、この作文を書くにあたり、税がどのように使われているのかを考えることが出来た。

私もいつか年をとり、公的な支援を必要とするときが来るだろう。そのときに、「安心して暮らしていられるだろうか?」と考えた時、税のことがみえてきた。福祉などの公共サービスだけでなく、学校や道路などの公共施設も税によって成り立っている。私達が安心して暮らしていける未来のために、私達はしっかりと税のことを学び、考え、そして責任をもって税を納めていかなければならないと思った。

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