和歌山県租税教育推進連絡協議会

ホーム税に関する作文税に関する高校生の作文一覧 > 高校生の作文表彰作品
和歌山県知事賞
税で繋がる未来の命
和歌山県立橋本高等学校 1年
永岡 心優

どの赤ちゃんも産声を上げて生まれる。 出産とは幸せで笑顔いっぱいだと思っている人が多いそうだ。 私自身、悲しい出産とは関係がないと思っていた。

私が小学校5年生の時、弟が生まれた。1009gという小さな、小さな体だった。 出生時の身体の発育が未熟な状態で生まれた乳幼児を未熟児という。 出生時には「まず状態が安定するまで数日が心配。」 数日が過ぎ、安心できると思ったが「心臓に穴があいている。循環状態が悪く、心配な状態。」 と医師から余命宣告のようなものを二度もされたという。 コロナウイルス流行時でありお見舞いに行けなかった私は、たくさんの管に繋がれ、頑張って生きようとしていた弟の動画を見た。 当時の私は怖くてたまらなかった。

それだけでなく、未熟児網膜症や脳室内出血などの病気になる可能性が高かったそうだ。 全く知らない難しい病名を聞き、悲しくなったのを覚えている。 想像もできないが厳しい医師の言葉を聞き、両親はどれだけ辛かっただろう。 生まれてから3ヶ月近く入院していた弟。呼吸器をつけ、保育器に入りたくさんの点滴をしていた。

弟の入院費や治療費など本当は高額の費用請求がくるはずだ。 母に聞くと、病院で養育医療の手続きをするように言われたそうだ。 日本には未熟児養育医療給付制度というものがあり、税金により負担されている。 税金の授業が始まり、気になってその制度について調べることにした。 指定医療機関で2000g以下で生まれ、医師が入院や治療を必要だと判断したときに医療費の一部、または全部を公費で負担してくれるものだと知った。 私の弟だけでなく全ての未熟児の親は凄く助かっていると思う。

弟は5歳になった。 通常の体重になり、元気に成長している。 十分に治療を受けさせてもらうことができたからだと考える。 まだ年に数回通院している。 未熟児養育医療給付制度が無くなっても乳幼児医療という制度で診療費は無償になっている。 また発熱などの体調不良時の診療も乳幼児医療が適応される。 弟だけではなく私も発熱した時や歯医者など乳幼児医療、子ども医療に助けてもらってきた。 何も心配せずに病院に行くことができている。

当たり前ではないことを学び、本当にありがたいことだと実感している。 働いて税金を納めてくれている大人がいるからこそ安心して生活できていると思った。 弟も私も18歳になるまで医療費は税金に支えられているだろう。 税金があり、制度があるおかげで未来へ繋がる命があると思う。 税金を納めてくれている全ての人に感謝したい。 そして、私は2年後税金を納める立場になる。 税金を納めることは簡単なことではないだろう。 しかし、私は助けてもらったこと、これからも助けてもらうことを忘れず、立派に税金を納めることができる大人になりたい。

税に関する高校生の作文一覧へ戻る