和歌山県租税教育推進連絡協議会

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公益財団法人納税協会連合会会長賞
「もしも」に備える税の力 -南海トラフ地震と私たちの未来-
和歌山県立田辺高等学校 2年
上野 こころ

私が住んでいる和歌山県は、南海トラフ巨大地震の被害が想定されている地域のひとつだ。 南海トラフ地震が発生すれば、大きな揺れと津波によって県内の広い地域に深刻な被害が出る可能性があると、ニュースやSNSで何度も耳にしてきた。 話題になったり、防災訓練をしたりした後は一時的に災害への意識は高まるが、時間が経つと薄れてしまう。

そんな中、最近カムチャッカ半島での地震の影響により、私の地域でも津波警報が出された。 それをきっかけに危機感が強まり、災害に関する情報をSNSで調べていると、「もしも」のとき私たちを守ってくれるものの一つが「税金」だということを初めて知り、この作文制作に活かすことにした。

災害が起きたとき、道路や橋の復旧、避難所の設置、被災者への生活支援、救急活動など、あらゆる支援に税金が使われる。 南海トラフ地震のような大災害では、国や自治体がすぐに対応できるよう、防災予算があらかじめ組まれている。 和歌山県も、堤防の整備や避難所の備品、地震のシミュレーションシステムの導入など、さまざまな対策を進めており、それらの多くが私たちの税金によって支えられている。 私は普段、税金を意識するのは買い物のときの消費税くらいだ。 あとは、学校の授業でいくつか税の種類があるということを、少し学んだ程度で、税についてなんとなく理解しているつもりだった。

しかし、防災の視点で見ると、税金は「未来の安心のための投資」だと感じるようになった。 特に南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率で発生すると言われており、いつ起きてもおかしくない。 もし明日起きたら、私や家族の命、そして生活そのものが脅かされる。 そんなとき、避難所は?食料や水、医療体制は?それらはすべて税金で整えられる。 だからこそ、災害対策に使われる税金は「命を守るお金」だと考えられる。 一方で、限られた税金をどう使うかという課題もある。 災害対策だけでなく、教育や医療、福祉など、必要な分野は多い。 だからこそ、税の使い道を正しく見極め、優先順位を考えることが重要だ。 1年後、私たちが投票できるようになったときには、防災に力を入れている政策や、政治家を見極め、1票を投じる責任があると思う。 災害はいつ起きるか分からない。 けれど、税金を通じて「備えること」はできる。

今、私たちが税について関心を持つことが、未来の命や暮らしを守る第一歩だと思う。 税金はただ取られるものではなく、私たちの命や安心を支える「みんなでつくる備え」だ。 和歌山に住む一人として、南海トラフ地震という現実を直視し、その対策に使われる税の役割と大切さを、これからも考え続けたい。 そして、防災の視点からの税の意義をまだ知らない人たちにも伝えていきたい。

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