西 悠斗
「5,500円です。」
3ヶ月に一度行く、歯科検診での会計。
支払いを終え、外へ出た途端、「びっくりした。5,500円って、すごく高い!今まで払ってなかったから、こんなに掛かるのに驚いたわ。」と、母が言った。
中3の3月末日まで、医療費を町が負担してくれている事を僕は中学の税の学習で調べ知っていたが、改めて母が驚いているのを見ると、税の支えの有難さを痛感させられる。
しかし、よく考えてみると支払った医療費も3割負担であり、残りは税の恩恵を受けていて、もし、全額請求されていたら、母は卒倒していたかもしれない。
税が支える日本の医療保険制度は本当に手厚い。
この様に普段、当たり前だと思っている暮らしが何か一つ変わる事で、改めて思い知らされる、そういう事は多々ある事だ。
特に不便を感じるとなると思いのほかである。
例えば水道。
これも税の恩恵の一つだ。
蛇口をひねれば当たり前の様に水が出る。
日本ではこれが日常で、これに対し、毎日感謝の念を抱き生活をしている人はどれだけいるだろうか。
しかし、たちまち災害等で断水になったらどうだろう。
蛇口をひねるだけで水が出る有難さを思い知らされるに違いない。
そして復旧すれば、今まで感じなかった水道に対する有難さを思い直すはずだ。
この当たり前の日常が税によって成り立っていると普段から考え、暮らしている人はどれだけいるだろうか。
僕は自分の医療費の負担で税に支えられていた事を実感し、それが当たり前でなかった事に気付かされた。僕の当たり前は当然のものではなかったのだ。
税は納めるとなると、どうしても負担と不満の気持ちになる人が多いと思う。
「納税の義務」と一言で言ってしまうと厳しいだけに聞こえるが、生活や暮らしを見つめ直してみるとどうだろう。
水道や医療費は勿論、福祉、介護、教育、道路等を始めとするインフラ、警察、消防等々、税は納めるだけの負担だけではなく、僕達の当たり前の生活の中で多岐に渡り恩恵を与えており、税は支えて支えられている、無くてはならない制度だと改めて気付かされる。
納税者自身も必ず何かしら税に支えられており、赤ちゃんからお年寄りまで、税は人と人との暮らしを繋ぐ思いやりの制度だと僕は思う。
だからこそ、僕達は、税を考え税を知ることで、当たり前の暮らしが出来る大切さに気付くと思う。
僕がこども医療費の受給終了によって気付いた様に。
そんな折、令和7年4月より、こども医療費の受給が僕の住む町で18歳の3月まで延長される事となり、再び税の恩恵を受けられるようになった。
この経験により、更に税の大切さを痛感させられた。
それぞれの人生の様々なシーンで納税者によって納められた税に支えられ、得られている快適な暮らしを当然の当たり前として過ごすのではなく、この当たり前の日常と税制度のサステナブルな未来の為に、皆でもっと税に関心を持とうではないか。





