橋本 れな
「私は、私にはまだ関係のないもの。」これが、私の中の税へのイメージだった。「なくてはならないもの」という意識は、日常生活を送る中では、なかなか持てず、関心もなかった。けれど、高校入学を機に、私の税に対する考え方は大きく変わった。
今年の4月に、私は高校生になった。そこで一番驚いたのが、「教科書代の高さ」だ。中学生までは義務教育であったため、教科書が無料で、値段なんて、気にしたこともなかった。だから、当たり前のように毎年もらい、特に大切にすることもなく使うだけだった。
高校生になると、義務教育ではなくなり、教科書も有料になった。初めて支払うことになった教科書代。私が知らなかっただけで、こんなに高かったんだ。そう思ったとき、私は、今までの教科書のありがたさに気付かされた。9年間、私の教科書代を払い続けてくれていたのは「税金」だった。
日本の税金の使い道には、「文教及び科学振興費」というものがある。これは、教育や科学技術の発展のために使われ、歳出総額の約5パーセントを占めている。つまり、税を納めているたくさんの人々が、私たちの教育を支えてくれていたのだ。
このことに気付いたとき、嬉しい反面、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。誰かが一生懸命働いて得たお金で納めた税金。その一部を頂いて、私たちの手もとに届いていた教科書。全部当たり前のこととして、感謝すらなく受け取っていた自分。関心を持てずにいた税金に、身近なところで、こんなにもお世話になっていたんだ……。
教科書を通して、私は、納税の大切さを学んだ。そして、自分が払っている消費税が、誰かの役に立っているのかもしれない、と思えるようになった。私は、社会に出たら、必要な税を納め、その意義が分かる大人でありたい。私がたくさんの人からもらっていた税金の恩恵を、未来の子どもたちにも、届けたい。
10年後、20年後、またその先の日本を生きるたくさんの人たちへ届ける税金は、まさに「希望」だと思う。それを支えることができる一人に、私はなりたい。