和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
共に未来を築くために
和歌山県立新宮高等学校 1年
渡瀬 百萌

私は租税教室で歳入総額の内訳を見て驚いた。

「69兆6,080億円」

これは令和6年度における所得税や法人税、消費税などの「租税・印紙収入」の当初予算で、私達が納める税金が国の収入の約6割以上を占めるということを示している。そして残りの約3割は公債金、つまり国の借金だ。

公債金が必要であるということは、約69兆円という巨額を徴収していても足りないということである。さらに国の財政は、歳出が税収等を上回る状況である「財政赤字」が続いているのだそう。このような状況が長引けば、将来の世代に多くの負担がかかってしまう。

私はどうにかこの現状を変える方法はないのだろうか、と思い調べてみると、ある一つの方法を見つけた。それは、歳出の削減と増税を組み合わせて行うという方法だ。2000年以降、公共事業費を中心に歳出の見直しが進められているように、このような政府支出の削減や効率化が予算赤字を減らし、国債の発行を最小限に抑えることが可能となる。だが、社会保障費のように高齢化に伴って増加する項目があるため、歳出の削減だけでは財政再建が難しいので増税が必要となる。そしてその増税を行うことで政府の収入を増やし、結果的に国債の返済に充てることができるのである。

この方法は確かに財政赤字の解消を促すかもしれない。しかし、この方法は私達のような未成年にできることなのだろうか。歳出の削減も増税も国が決めることではないか。

それならば、私達にできることは、もっと身近なところにあるのではないだろうか。例えば節電や節水、省エネを心掛ける、図書館などの公共施設や教材を大事に使う、食品ロスやゴミの量を減らすなどのように私達それぞれの手が届く範囲のこと。そして何より、税は「誰一人取り残さない」「未来を創る」ためのとても重要な役割であり意義であるということを、私達一人ひとりが日常生活を通して気付き、学び、理解することが大切である。そして、その一つひとつの行動や意識が、貴重な税を無駄なく大切に使うということに繋がり、将来の世代に過度の負担を残さないための在り方をも見つける方法になるだろう。

私達が大人になった時、納税の意義や役割、目的を再度見つめ直し、自分の意見や考えを発信することで目の前にある課題に、そして社会に、真っ当に向き合っていきたい。そうすればきっと少しずつ、だけど大きな変化をもたらすことが出来ると私は思う。

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