和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
“皆”を支える
和歌山県立日高高等学校 1年
今田 菜々子

写真を撮る時、字を書く時に周りの目を気にして右手を隠してしまう癖があった。それは私の右手に血管腫という赤いあざがあるからだ。血管腫とは「赤あざ」と呼ばれる血管の異常で、血管が拡張したり増殖したりすることでできる良性腫瘍だ。あまり多くの人に知られていない病気で小さい頃はよく友達に「右手赤いけどどうしたん。大丈夫なん。」とよく聞かれていた。私は笑いながら「全然痛くないし、大丈夫やで。」と言っていたが、自分の手は他の人と違う、普通ではないと感じ辛い日々が多かった。

血管腫は早い段階からの治療がよいため、小さい頃からよく病院に入院していたりした。手術のため親と会えなかったり、右手が不自由であったりとてもしんどかったが、その分病院食がとてもおいしかったり、病院の帰りにご褒美を買って貰えて幸せだった。

しかし、治療費や入院基本料など入院するにあたり多額の費用がかかると思っていた。そのことを母に聞いてみたら、「“皆”が支えてくれているから大丈夫。」と言っていた。初めはその意味が分からなかったが、調べてみると、私の住んでいる御坊市が子ども医療費助成制度という子どもの医療費の一部を保護者に支給する制度を行なっていることが分かった。そしてその財源は、普段私達が納めている税金だということを知った。税金によって私や他の子達、そしてその親が沢山助かっていることが分かり私は改めて税金の有り難さを身に染みて感じた。

世間では、増税の事など税金に対して批判的な意見が多く飛び交うが、もし税金がなかったら安全な水道水を使えなかったり、道も綺麗に整備されず警察も活動できなくて治安が悪くなるという事を今一度知って欲しい。そして税金の支出の割合のうち、約33%が医療費などによる社会保障関係費であり、税金は私達の命を支えてくれていると言える。

子ども医療費助成制度のおかげで、私は、お金に困ることなく手術を受けることができ、完治はしていないが昔に比べて大分赤みがひいてきており、右手を気にすることも減った。今では、この病気も個性であると考え悩んだり辛くなるようなこともなくなった。

母が言っていた“皆”は、税金を払っている“皆”だということに気付いた。私は今、消費税ぐらいしか払えていないがそのお金でどこかの誰かを少しでも笑顔にできているかもしれないと思うと嬉しくなる。そして血管腫という病気を通じて人は皆、支え合っているという事を知ることができて良かったと強く思う。

助けられてばかりの私だが、これから大人になるにつれ、未来の子ども達のため、世の中のために私のように助けて貰える人を増やせるように努力し、自信を持って「私は、“皆”を支えている一部だ。」と言いたい。

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