矢代 哲平
私には、医療・人道救助団体、「国境なき医師団」の一員として活動するという夢がある。現在、世界ではウクライナ紛争、シリア内戦、パレスチナ問題などの国際問題によって、1億2,000万人もの難民、国内避難民がいるとされている。また、日本国内でも苦しい生活を強いられる人々がいる。今年1月の能登半島地震では、私の祖母が被害にあった。そのような人々の声を聞くたび、「一人でも救いたい」という気持ちが私の心に現れる。
しかし、私は今、何ができるだろうか。高校1年生の私にできることは限られている。その答えを探すため、私は難民や被災者への支援について調べてみた。
実感の湧かない数字が目の前に現れる。日本政府は昨年、難民保護を行う機関「UNHCR」に対し1億5,000万ドルほどを拠出した。これは世界でも4番目であり、非常に多いらしい。
衝撃の数字が目の前に現れる。今年発生した能登半島地震で既に1,400億円近くが、東日本大震災に至っては10年間で30兆円を超える予算が使われたそうだ。
ここまで多くの予算がどこから現れるのか、そう気になり、調べる手が止まらなかった。難民保護の観点から、日本では難民として保護された人は一部の税金の控除が認められていること。また、東日本大震災の後、復興のための施策を実施するため、「復興特別税」というものが課されたことがあること。なるほど。これらのことから日本の難民や被災者についての援助、支援は税金が大きな役割を担っているのだと感じた。
私は今できることの一つに、「税金を納めること」という答えを見つけた。しかしながら、高校生の私が現在納めている消費税の使途は主に社会保障財源であって、消費税の多くは年金や医療費、介護や子育て支援に使われている。私が思うような復興やUNHCRへの拠出とはまた少し違うようだ。しかしここで、私は少し考え直してみた。「国の歳出が税金をきちんと納めることで社会保障に充てられるのならば、それこそ苦しむ人々が現れた時の支援が安定して、円滑にできるのではないか。」人を救うことについて今現在の私にできることは非常に少ない。だが、私たちの納める何気ない税金ができることは非常に多い。税金は、実際の税金の使われ方以上に、私たちを支えるのである。場合によっては災害に悩む地方に、場合によっては戦争に悲しむ世界に。
私はこれまで日本が行う支援についての知識があまりなかった。しかし、探究を進めるうちに支援と税金の関連を見つけ、支援の面からも「税金を納めること」の大切さに気付くことができた。
私の夢は一人でも多くの人を救うことである。そのために今何ができるだろうかという問いの全ての答えは分からない。だが、今回見つけられた一つの明確な答えを実行していくことが、私の決意だ。