和歌山県租税教育推進連絡協議会

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公益財団法人納税協会連合会会長賞
税の力
和歌山県立向陽高等学校 2年
岸本 彩乃

私は将来、財務省で働きたいです。それは、税を正しく公平に集めることが国の豊かさ、さらに、私たちの幸福に直結すると考えるからです。それに加えて、徴税の仕組みや税の使い道についてより多くの人に興味を持ってもらい、知ってもらうことで、納税に対して納得感を持ってほしいと思います。

私は以前、テレビ番組で、大学生が行っている興味深い取り組みを知りました。それは地域のパン屋で行われていて、その内容は、地域の人達が子ども達のために、一つのパンと交換できる券を買い、パン屋に寄付するというものでした。その券はレジ横に置かれ、子ども達はそこから一人一枚を取って好きなパンと交換できます。この取り組みは初め、貧困で十分にご飯が食べられない子どものために考えられましたが、それだけではなく、地域の子ども皆にとって嬉しいものとなりました。また、パン屋も来客が増えて利益が上がり、さらには地域の人達と子ども達の繋がりが深まるきっかけにもなりました。この取り組みについて聞いたとき、私は驚いたと同時に、「これって税の仕組みと同じだな。」と思いました。知らない誰かのためにお金を差し出す。金額はそれほど多くはないけれど、たくさんの人の協力によって大きな幸福が生まれ、循環していく。税がそのような素晴らしい制度であることを、私は改めて実感しました。

しかし世の中には、税に対してマイナスのイメージを持つ人も少なくありません。私はそれは、集められた税が何に使われているかはっきりと知らない人が多いからだと考えます。先程の例の場合、寄付したお金は「子ども達」が「パンを買う」ために使われます。このように、「誰に」「何のために」税が使われるかを明確にすることが、納税への納得感に繋がるのだと、私は思います。

けれど実際には、税が何に使われているかをそのように簡単に、はっきりと言い表すことは難しいと思います。それは、税は様々な社会制度や公共施設に利用されているからです。私たちは税がなくては生きていけません。税がなければ、信号や道路は使えず、電気や水やガソリンの値段は高くなってしまいます。また、学校や警察、消防なども働けなくなってしまいます。私たちは税に支えられて、当たり前の生活を送ることができているのです。そしてそれと同時に、私たちの税によって、誰かの当たり前の生活を支えているのです。

だからこそ私は、税の使い道を知ることと同じくらい、私たちの納税が知らない誰かを、そしてこの社会を支えているのだという意識を持つことが大切だと考えます。そしてその意識が、納税への前向きな気持ちや、さらには、私たちが支え合って国をつくっているのだという国民意識や団結に繋がるでしょう。税の力で、そんな日本を築いていけるように、私は財務省で働きたいと思うのです。

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