蝉 美沙貴
「大きな政府」と「小さな政府」この二つの言葉を皆さんは聞いたことがあるだろうか。大きな政府とは、税金を多く取る代わりに手厚い公共サービスが受けられることを意味し、小さな政府はこの反対の意味を指す。
今の日本は、少ない税金で大きな公共サービスを提供している。これは大きな政府にも小さな政府にも属していない日本独自の形である。では、なぜ日本はこのような形になったのだろうか。
理由として、昔の日本は若者が多く今ほど高齢者が多くなかったからというのが一因であるだろう。若い世代が多かったことで、少ない税金でも全体を支えるだけの税収があったわけだ。
しかし、今の日本は変わってしまった。子どもを産む人が減り若い世代が減少する中で、医療の進歩などによって平均寿命は世界一となった。今はもう、昔とは真逆の社会へと変貌したのである。
それではなぜ、大きく社会が変化したというのに仕組みはそこまで変化しないのか。ここでいう仕組みの変化とは、増税のことである。これは、増税は反対だと多くの国民が言うために変化してこなかった。こうなる理由として、国民の心理の中に自分の利益を優先し、今よりも質の低い生活をしたくないという思いがあるからだろう。しかし、考えてみてほしい。もし、それによって救急車が呼べなくなったら?警察がなくなったら?私たちはもっと困るだろう。この少子高齢化が進む社会で、今の公共サービスを維持するためには、増税は必要なのではないだろうか。
今の私たちには自覚が足りていない。これからの社会の在り方を決めるのは自分たちである。日本はこれから大きな政府を目指すのか。小さな政府を目指すのか。これは他人事として聞いてはいけない内容である。
私は、今の環境を維持するための増税には賛成するべきだと思う。そして、増税は反対と言いながらも今の環境を享受しようとする人の行動は矛盾していると思っている。私は、大きな公共サービスを受けるなら、それ相応の税金を払うことに納得するべきだと思うし、小さな公共サービスでいいなら、そう声を上げればいいと思う。
私たち国民は、国民主権の名のもとに、改めて日本の行く末を考えなければならないのではないだろうか。