和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
ありがとう
和歌山信愛高等学校 1年
藪田 歩佳

「声が出ない・・・息が苦しい」

それは昨年の5月の中頃、私の身に起きた出来事である。通学途中に突然首元を締め付けられる様な痛みに襲われた。耳鼻咽喉科を受診し、医師から告げられた病名は「結節性甲状腺腫」、通称甲状腺がん。特に30代から40代の女性に多い病気であるが、10代でこの病気というのは非常に稀であるという。しかし、当時14歳の私には何を聞かされているのか全く分からなかった。説明を聞くにつれ、私はこれからの未来に不安の雲が浮かんでいるような気持になった。安静にしていても苦しさは変わらなかった。母は呼吸に苦しむ私を、母は車で片道30分かけて、何度も何度も病院に連れて行ってくれた。薬を飲んでも腫瘍の腫れは治まらなかった。初めは2・5センチの腫瘍は7月には3センチに肥大していた。そこで7月の中旬、私は医師に医科大学で手術を受けることを勧められた。私はできるなら手術はしたくなかった。しかし、+腫瘍の形が歪で悪性になる可能性が高かったので、手術を受ける決断を下した。そして、今年の1月に私は9時間にもわたる大手術を受けた。

退院する時に、母が入院費を支払ってくれたが、私はその金額に驚いた。なんと6,000円だったのである。私は入院と手術には莫大なお金がかかることを知っていた。だから私は桁を読み間違えているのではないかと、びっくりした。それを見た母が「あなたは町から医療費を助成してもらっているのよ」と教えてくれた。

調べてみると、私の住む町には医療保険に加入している小中高生を対象に、保険医療の自己負担額分を助成する制度がある。それは入院・通院にかかる医療費の自己負担分を助成してもらえる制度なのである。私の入院費の裏にはこのようなものがあったんだと知ることができ、安堵した。

小さい頃の私には、税は国民を縛り、苦しめるようなものに見えていたが、それは違った。生まれた時には出産祝い金を貰い、乳幼児の検診も予防接種、それから就労時検診や義務教育期間までの教科書も無償。そして、令和元年には幼児教育・保育の無償化が実現された。その他にもたくさんの税金に支えられて、今私はここまで生きることができている。税金は、人と人とがお金を通じて支え合い、国民の一人一人に安心して豊かな生活が送れるようにするものだ。

「人は決して一人では生きていけない」と、祖母はよく言う。本当にそうだと思う。今、私が元気よく生きることができているのは、医師や看護師、家族や先生、友人のおかげだけではない。見えないところで、私を支えてくれている人がいる。ここに感謝の意を表したい。しかし、日本にはまだ私のような病気に苦しむ子供たちがたくさんいる。私は税に感謝して、今度は私が誰かの明日に花を添えられるような人になりたい。

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