和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
税に救われ今がある
和歌山県立耐久高等学校 2年
三橋 華紗

私は、あの日のことを忘れることはないだろう。あれは高校2年生の春のことだった。当たり前のように毎日登校する道を歩いていた。目の前に学校の校舎が見え足早に歩き始めた時、急に目の前がぐるぐると回りだし、立つこともままならず座り込んでしまった。「大丈夫?」と走って駆け寄ってきてくれた友達の姿が見えたが、めまいで「大丈夫。」と一言話すのがやっとで記憶が曖昧になったことを今でも思い出すと不安に押し潰されそうになる。初めての経験で苦衷を抱えていたが、数時間後には何事もなかったように日常生活を送ることができ安堵していた。

しかし、その安堵したのも束の間、数日後また同じめまいと共に頭痛と耳鳴りが始まり、一瞬耳が聞こえなくなったような気がした。私は恐怖心に襲われ頭が真っ白になった。母に相談し、病院であらゆる検査をすることになった。聴力検査をし、眼振検査や平衡機能検査、MRIやCT、頸部のレントゲン等多くの検査をした。低音障害型感音難聴と診断され1週間に一度聴力検査をし薬物療法を続け少しずつ症状が緩和し、安心して通学できるようになった。

私は母に感謝の気持ちを伝えた。すると母から、私が住んでいる町では子ども医療費助成という制度があるということを教わった。調べてみると、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの医療費を助成してくれるということを知り感銘を受けた。

風邪や腹痛で病院へ、歯の治療で歯医者へ、日々の生活の中でよくあることである。今まで気軽に診療を受けられていたこともこの制度があるからだ。そして、この制度を成り立たせているのが税である。私は深く驚嘆した。税金を身近に感じ感謝する瞬間でもあった。税金は、私の想像よりもっと身近に寄り添ってくれているということを痛感した。

私は今まで、何不自由なく毎日幸せに大好きな友達や家族に囲まれ、元気に通学できていることが当たり前だと思っていた。しかし、この当たり前を支えてくれているのが税であるということを決して忘れてはいけない。今は健康で何不自由なく元気に生活している人達もいつ病気になるか分からない。病気になり治療をした結果、今こうして私のように元気に日常生活を送れるようになった人達もいるだろう。重い病気や難病を抱えた人達もいるだろう。この社会に生きる全ての人達の為に、税は陰ながら支えてくれているのだ。毎日の暮らしの中で税は様々な形に変わり私達の元へ返ってきて幸せを運んでくれる。そして、誰かが納めてくれた税が形を変えて私の元へ届き笑顔で暮らせている。私達自身の笑顔も、周りの人達の笑顔も、知らない誰かの笑顔も税により笑顔で光輝くだろう。今は税に大きく支えられているが、私もいつか誰かの為に納税という形でほんの少しでも幸せを届けたい。一人でも多くの人が税に救われますようにと願いながら。

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