和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
税について
和歌山県立向陽高等学校 2年
九内 遥音

平成31年、日本の消費税率が8パーセントから10パーセントに引き上げられました。生活へのインパクトが大きい消費税が上がるとどうしてもマイナスな印象が先走るかもしれませんしかし実はそんなネガティブなことではないのではないかと私は思っています。ではなぜ、世間では悪い面の方がより目立つのでしょうか。

私は今年の春、高校編入と共に日本に引っ越すまでずっとドイツに住んでいました。日本とドイツの様々な違いに戸惑ったのですが、税金もそのうちの一つです。例えば一番身近に感じられる消費税の話をすれば、私は幼い頃「日本の100円ショップというのは嘘じゃないか」と思っていました。税抜き価格で100円でも、結局支払うのは110円です。ドイツでは基本的にこのようにお店の商品が税抜き価格で表記されることがないのでそのように思ったのですが、そもそも消費税率はドイツの方が日本より高く19パーセント、さらに平均所得税率も日本よりドイツの方が高いそうです。それだと一見ドイツの方がお金の負担がとても大きく感じられますが、食料などの生活に欠かせないものには軽減税率制度が導入されています。実際日本でスーパーに行くと食料の値段がドイツよりかなり高く、驚きました。そしていわゆる高福祉国家であることでドイツには手厚い社会保障制度があります。例えば、私たち学生に関して言えば、大学を卒業するまで学費は無料です。その他にも高速道路の利用が無料だったり、税金の恩恵を受けられていると感じられました。

そしてそれを特に感じたのは、新型コロナウイルス感染拡大の時です。例えば、日本で連日報道された飲食店の危機的状況、ドイツでは飲食店に例年の8割の収入が保障され即座に支給されたので、さほど問題になりませんでした。つまり税金のおかげで収入に困る人が出るのを抑えられたということです。このように、税率が高いことは必ずしも悪いとは言えないはずなのです。日本は消費税が低くても大学に行くにはかなりのお金がかかったり、結局様々な事柄にかなりお金がかかります。なのに高い税率に悪い印象が多いのは、矛盾しているように見えますが、まさにこれが原因だと私は考えます。つまり税金がどこで使われているのかはっきり見えづらいのです。これで消費税が上がるとただ負担が大きくなると感じられ、税金の利点はあまり感じられません。今後、日本で消費税率を上げることにしても、支払う税金に見合った社会保障や福祉サービスが受けられている、と国民に感じてもらうには、税金が何に使われるのか明確にすることが大事なのではないでしょうか。

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