和歌山県租税教育推進連絡協議会

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公益財団法人納税協会連合会会長賞
世界のための税
和歌山県立新宮高等学校 1年
脊古 彩羽

私は授業で国連が行う国連世界食糧計画について話を聞いた。国連は紛争地や自然災害地など、貧困の問題を抱える国に食糧支援を行っているという。今はウクライナとロシアについての問題が大きく取り上げられているが、世界にはアフガニスタン紛争やミャンマー内戦など様々な紛争があり、今もなお続いている。皆さんは貧困に苦しむ人々が、世界中にどれだけいるのかを知っているだろうか。その数およそ7億3,600万人。日本での当たり前のような生活が、いかに幸せなことか実感できる数字だ。私はこの数字を見て驚き、貧しい国に食糧を支給する動画を観た。そこには倒壊した建物、食糧が支給されたことに喜び、感謝する大人たち、痩せ細った体でベッドに横たわる小さな子どもが映っていた。日本では見ることない光景ばかりだった。しかし、私はまだ高校生だ。世界にどれだけ貧しい国があっても、私にできることなどないと思っていた。

そんなときに知ったのがODAという存在だった。ODAとは開発途上国の経済社会の発展、国民の福祉向上に貢献することを目的とし、贈与や技術協力などの援助をしたり、資金を提供したりすることだ。これには税金が使われている。今、私の身近にある税金は消費税ぐらいだ。最近では、値札の税抜き価格と税込み価格を比べて、消費税が高いなと感じることが多々ある。普段高いと感じる10パーセントだが、この10パーセントが世界にいる貧困や飢餓に苦しむ人々の役に立っているのだ。だが、どうして日本ではなく他の国のために税金を使うのか、税金は私たちが納めているものなのだから、日本のために使うべきだという意見もあるだろう。しかし、東日本大震災が発生した時、私たちは途上国からも援助を受けた。この援助には、ODAの取り組みに対する感謝の気持ちも込められていたのではないだろうか。ODAには「信頼」の意味もあるのだと思う。また、SDGs1つ目の目標は「貧困をなくそう」だ。そのため、私は税金を納めるという形でODAの活動に参加することは「持続可能な社会」をつくるための第一歩だと思う。他国のための税金は世界の未来に繋がるものであり、他国との強い信頼関係を築くための大きな懸け橋にもなるため、とても大切なものだ。

私たちは昔と比べることによって消費税が高い、税金が負担だと感じている。しかし、税金の使われ方について調べてみると、平和な未来を願い、様々な取り組みを進めていく中で税は必要不可欠なものだと分かった。今のこうした生活がこれまでの税金によって創られてきたものならば、私たちのこれからの生活を創っていくのは今負担に感じている税金だ。税金を過去と比較するのではなく、よりよい未来のためのものだと希望を持って生活していくことが、税に対する負担を減らすことにも繋がるのだと思う。

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