岡 省吾
「若者の投票率が低いのが問題である」と選挙が近づくと口酸っぱくメディアで取り上げられる。政治に興味がない今の若い世代とレッテルを貼られているのはいささか気になるが、強ち誤りない。
「税」と「投票」は無縁の様だが、甚だ以て密接であると思う。政治はより多くの意見に耳を傾けて受け入れ、その声が大きい程国はそれに沿いやすくなる。従って税金においても多数派の意見が採用されやすくなるのだ。ここで問題なのは若者の投票率の低さよりもこれからの若者が負担する税に無頓着である事だろう。
令和3年の衆議院議員総選挙では四十代から七十代以上の人の投票率はそれぞれ五〇パーセントを超えている。片や若い年代はどうだろうか。十代から三十代は皆五〇パーセントを切り半分も満たしていない。これだと当然、政治の動きは投票率の高い世代に沿う様なものになるだろう。
現に日本では高齢者福祉に富んでいる。養護老人ホーム、デイサービス、老人居宅介護など数えれば切りがない。年金制度も高齢者対象のものである。少子高齢化の進む日本は極めて早急に解決に導くべき問題でもあるがそれを担う若者が関心がないと効き目がない。それらの全ては税金であり、現役世代に委ねられた課題である。
また、若者の子育てと税の関係はどうだろう。認定こども園の設置等多様な福祉「子育て支援サービス」がある。子育てをよりしやすく促す福祉だが高齢者福祉程充実はしていない。待機児童の問題などが残される。このサービスも税金で賄われているがやはり、費やする規模は高齢者向けのサービスの方がよっぽど大きい。フランスでは保育不足が殆ど発生せずノルウェーでは育児休暇中でも賃金の八割から十割も補償するのだ。他の国と比べて日本は一歩遅れている様に感じる。
それもこれもの税の使い所は政治が決定する。その政治を左右するのは私たち国民である。国民の「税」についての生の声を届けるには投票は不可決だ。
それと同時に、税の使われ方や税の徴収の仕方、税の配分などに今の若者こそが改めて注目して欲しい。現役世代になりゆく人、なったばかりの人には今後、税を納め国を支える一員となる。私たちが暮らしやすく豊かに生きるためには「税」とどう向き合うべきかと思案を巡らし議論する事が求められるだろう。遍く及んだ「若者の政治離れ」のレッテルを剥がし、その答えや疑問を投票という形で国に投げかけなければならないと思う。