和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
身近な幸せを支える「税」
開智高等学校 2年
小泉 佳菜

トロリと溶けるバターを塗って。朝のスタートは食パン、という方も多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人です。パンは手軽に食べれるし、美味しいし。「年をとると、柔らかくて軽い感覚で食べられるパンがいいんだよね。」と祖母も言うように、幅広い世代に愛される食べ物なんだな、と思いつつ私もパンを毎日何気なく頬張っていました。

そんなある日、母が「毎日安定してパンが食べられるのは、税金が支えているからだよ。」と言いました。最初は税金とパンを結びつけて考えたことがなく驚きましたが、よく考えてみると日本の小麦の現状について先生が教えてくださったことを思い出しました。

現在、日本で食べられている小麦の約9割は輸入に頼っています。なので、何もしないと価格が不安定になり、小麦を含む食べ物を安定して買うことができません。そこで、政府が輸入される小麦をほぼ全て買い取り、関連企業に売り渡す方式をとっています。なので仮に急激に輸入小麦の価格が上昇したとしても、すぐに消費者のもとへ届く食品の値段が上昇することを防ぐことができます。このシステムを支える「政府による買い取り」を支えているのが「税」なのです。

今、その小麦をめぐる厳しい状況が、連日新聞やニュース番組で報道されるようになりました。主な要因として、昨年夏の高温・乾燥による米国・カナダ産小麦の不作の影響、ロシアの輸出規制、ウクライナ産小麦の供給の先行きの不透明さに加え、他にも多くが挙げられます。生活に密接した問題といっても、今の私の力ではどうにもなりませんが、「税」を納めることにより、小麦の値上げを最小限にしようと働いているシステムを支えることができると考えると、「税」は私たちの身近な幸せを支えるものなのだと感じ、感謝の気持ちで一杯になりました。

本当は小麦の量や品質が安定したり、世界の国々と自由に貿易が出来る平和な状態が訪れるのが望ましいけれど、今のように国民みんなが、いつもの食事をし、笑顔になることができる日々を送るための1つのパーツに危機が訪れた時、それを助けるのが「税」なのかなと最近考えるようになりました。「いただきます。」今回私は税と小麦の関わりについてたまたま知ることが出来、身近なパンや、小麦から作られた食べ物について違った角度から見ることが出来ました。しかし、もし知るきっかけが無かったら、「税」のありがたみについて身近に考えられていなかったのではと思い、まだまだ「税」について学ぶべきことがたくさんあると感じました。

民法改正により18歳から成人となり、私ももうすぐ成人となります。実感は湧かない、でも、身近な生活を守っている「税」について学び、伝える大人になると決めています。

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