和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
支え合い
和歌山県立日高高等学校 1年
上平 安都葉

今から約3年前、4歳だった弟が突然病に襲われた。40℃を超える高熱が何日も続き、体調が一向によくならない。そんな弟の姿を見るのが、私にとって心苦しかった。自宅で様子をみても、回復しなかったため、両親が病院へ連れて行った。弟は今まで何度か高熱を経験したことがある。これまでは、薬を飲むと数日で元気になっていた。だから、今回もそうなるだろうと思っていた。しかし、診察結果は風邪ではなく、1つの病気であった。こんな身近な人が、ましてや4歳の弟が病気になるとは、想像してもいなかった。私たち家族は、心配で頭がいっぱいだった。私は、治すために何もしてあげられないという無念感を人生で初めて味わった。そんなとき私たちを支えてくれたのが「税」である。

病気を特定するまでも、レントゲンをとったり、心電図をとったり、血液検査をしたりと色々な検査を受けた。そして、やっと病名が確定した。その後も、薬の投与、点滴、酸素濃度の計測など様々な治療を受け、徐々に回復していった。驚くことに、病気が判明するまでの検査費用、治すための治療費、それらが全て無償であった。ただでさえ体調が心配でパニックなのに、医療費も自己負担であれば、精神的に追いつめられていただろう。だから、私の母は、「税」の存在に助けられたと言っていた。そして、弟は、一週間の入院生活を経て無事退院できた。自宅に弟が帰ってきたとき私は、他の何にも変えられない喜びを感じた。「税」が救ってくれた命と言っても過言ではない。「税」の偉大さを実感し、心が感謝の気持ちで溢れた。

日本の子どもの医療費に対しての助成は、都道府県、市区町村によって異なる。だが、全ての地域で何かしらの独自の助成は行われている。日本にその制度があるから、気軽に病院に行くことができる。そして、小さな命は守られているのだ。家庭間の経済格差に左右されず、医療が受けられることは、素晴らしいことだと思う。しかし、世界には、重篤な場合であっても医療が受けられず、小さな命が失われてしまうというケースが少なくない。だから、今の状況をありがたく思い、いずれは世界中の人々が気軽に医療が受けられる世の中になってほしいと願う。

当時中学1年生だった私は、弟の病を通して「税」について深く考えることができた。以前は、何も考えず「税」を納め、使われ方を把握していなかった。けれど、「税」は私たちの大切な財産の一部である。だから、国民一人ひとりが理解する必要があると思う。そうすることで、よりよい未来が創れるのではないだろうか。

私が考える「税。」それは、支え合いである。私たちは、日々の納税で、日本のどこかの誰かの命を救っている。だから、税を納める行動に誇りをもち、逆に支えられたときは、感謝の気持ちを忘れてはいけない。これからも支え合いの輪が広がっていくことを願って。

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