和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
幸せと思える未来のために
和歌山県立橋本高等学校 1年
俵 和花

「こんにちは。また土曜日行かせてもらうわね。今の時代は年寄りでも楽しみがあって幸せよ」と杖をついた高齢の女性の方が母に話しかけてきました。母は、デイサービスで働いています。一緒に買い物に出かけると利用されている方と偶然出会い、よく声をかけられるのです。

でも、私は、この女性の方の「今の時代は」というワードが引っかかりました。昔はどうだったのか。その疑問を母に聞くと、平成12年に介護保険制度が導入されるまでは、利用者が自由にサービスを選択できなかったり収入によって負担が増えるため中高所得者にとっては利用するハードルが高かったそうなのです。そして、その時、母から初めて私の曽祖父の介護の話を聞きました。

私の曽祖父は、介護保険制度ができる1年程前から認知症の症状が出始めたそうです。ですが、当時は曽祖父の介護は曽祖母がほとんど一人で担っていました。普段は世話好きである曽祖母ですが、通院、リハビリ、食事排泄、入浴と昼夜を問わず介護する老々介護に周りはとても心配したそうです。その後スタートしたのが介護保険制度。曽祖父は要介護4との認定を受け、一週間に3回デイサービスを利用できるようになりました。大きな浴槽で入浴し旧友と会えるデイサービスがその後の曽祖父の生きがいになっていたようです。曽祖母もまた、多くの人の手を借り、介護がぐっと楽になったのに加え、介護の専門家がいつも曽祖母の心に寄り添ったケアをして下さるので笑顔も増え、家族にとって、この制度ができたことは、とてもありがたかったそうです。

私は、家族の救世主となった介護保険制度に関心を持ち調べてみると、40歳以上の方が納める介護保険料と税金で運営されていました。この制度ができたからこそ、多岐にわたるサービスから個々に合ったサービスを選択し、総合的なサービスを受けることが可能になりました。また、利用者負担においても基本はサービスの一割、残りの9割は税金であり誰もが平等に安心して介護サービスが受けれる時代になったのです。少子高齢化が進んでいくであろう日本の社会問題を踏まえ「家族の負担を軽減し介護を社会全体で支える」というコンセプトの中で、この制度が誕生し、そこに税金が充てられ、税金の恩恵を受けて今、多くの高齢者の笑顔があり、生きがいを持つことにつながっています。また、高齢者を介護する多くの家族の大きな力添えになり家族の幸せを守ることができているのです。

時代の流れの中で必要とされるところに税が充てられ私たちの豊かな生活が成り立っています。

あと70年後、街で出会った高齢の女性の方と私が同じ年になった頃、私も「今の時代は幸せよ」と笑顔で語れる時代が続いているように私は正しく納税し、今の幸せを未来にと引き継いでいきたいです。

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