和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
手術という選択
和歌山県立星林高等学校 2年
上野 心優

「暑中お見舞い申し上げます。そちらも毎日暑いですか。手術から、もうすぐ一年です。、まだ、完治はしていないけど頑張っています。空の上から見守っていて下さい。」

このハガキをポストに投函しても、もう祖母は見ることが出来ません。祖母は昨年の5月、私の手術を心配しながら、この世を去りました。

私が、運動誘発性咽頭閉塞症になったのは小学6年生の冬でした。ずっと、病気が何なのかわからなかったのですが、去年、今の主治医の先生に出会ってから本格的に治療がスタートしました。2歳3か月から始めた水泳を思う存分、頑張るために、手術という選択をしました。激しいスポーツをしなければ、喉の閉塞は起こらないので、母や兄は手術には少し反対でしたが、私の水泳を続けたいという強い思いに負けて、了承してくれました。この病気は、日本では珍しい病気なので、イギリスやアメリカ等の医師と主治医の先生方が、相談し、東京から執刀医の先生に来てもらって、手術をすることに決まりました。

そこで、私は子ども医療費助成制度を受けることが出来ない今、どれくらいの医療費がかかるのか心配になりました。でも、父も母も、「大丈夫。」大切な子どもの命を守ること、やりたい事を思う存分させてやりたいと親なら思うんよ。いくらお金がかかっても心配するな。」と笑って言うだけでした。

そこで、医療費について調べたり、母と一緒に申請に行ったりして、いろんな事を知りました。私達が病院の窓口で自己負担している3割の医療費の残り7割は、どこから支払われているのかと言うことです。もちろん、父がもらっている給料から保険料を支払っているからだと思っていました。でも、この保険料は、父が働いている企業も折半で負担し、さらに国や地方自治体も一定額の負担金を支払っている事がわかりました。また今回のような医療費が高額になりそうな時は申請する事で「高額療養費制度」が適用され、自己負担が限度額を超えた分は支払わなくてもいい制度もあります。また、年間の医療費が10万円以上かかった場合「医療費控除」で所得控除を受けることが出来るというものでした。

これを知った時、今、私と同じように病気と闘っている人達は、税金で支えられているんだなと思いました。最近、接種を受けたコロナワクチンにも助成を受けています。国の歳出でも、私達の健康や生活を守る社会保障関係費が35兆円と33.6%を占めてます。

今は、お小遣いで買い物をする時に納める消費税くらいですが、入院生活を思い出し、社会人になった時、きっちり納税して病気と闘っている人達の力になりたいと思います。そして、私の水泳を応援してくれていた天国にいる祖母へ、良い結果を報告できる日が来るように頑張ります。

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