和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
日本の国づくり
和歌山県立桐蔭高等学校 1年
辻󠄀 美咲

2年前の夏、祖母が倒れた。家族が混乱する中、数分後には救急車が到着した。診断は脳梗塞だったが、救急隊のすばやい対応のおかげで祖母は現在、多少の足腰の不自由を除いては元気に暮らしている。あの時、救急車がすぐに駆けつけてくれて本当によかった。

ところで「世界の救急車事情は知っていますか?。」以前、家族旅行に行く際、ハワイは救急車を呼ぶと1回7万円以上もかかり医療費も高額で自己負担となるので不測の事態に備えて日本で保険に加入するのだと母に教えてもらった。反対に日本では国籍や症状にかかわらず、無料でだれでも運んでくれて、車内で質の高い処置も行われる。このような制度を取り入れている国は世界でもあまりない。世界で、ほとんどの国が救急車は有料。これが答えだ。

今現在、一番気がかりなのは、新型コロナウイルス感染拡大による影響だ。昨年度は臨時休校が3ヶ月続き、その後も部活動の自粛等、私達学生にも大きな影を落とした。今年度は史上初の1年延期となったオリンピックが無観客で開催された。医療ひっ迫のなか、毎日デレビに映しだされた感染者数は増加の一途をたどる。新型コロナウイルスは、指定感染症であることから検査、治療、入院費用は公費より支払われる。税金の投入だ。ではなぜ、パンデミックという危険をおかしてまでオリンピックは開催されたのであろう。私はちぐはぐな気持ちとなり違和感をおぼえた。

開催について考えたとき、アスリートの心情を別に置いておくならば、「経済の回復」が思いあたる。経済が潤わなければ、当然納税どころではない。特にコロナ禍においては、納税を困難とする事業所に一時的に猶予される制度まである。これが続くと、国は財政難となり、結果国民である私達に影響が及ぶこととなる。そう考えると、コロナ、オリンピック、医療費、救急車、納税という次々のワードが輪を描くように繋がった。日本という社会をうまく回していくためには、どれもが必要不可欠となってくる訳だ。私のちぐはぐな気持ちも、ようやく落ち着き、又、税のしくみへの理解の第一歩となった。納税なくして日本の国づくりは成り立たない。

日本の未来を思う時、今回のコロナ禍を見ても、厳しい現状が続くであろう。けれど、祖母を助けてもらったように、今現在医療に従事されている方や、経営難の飲食業の方、そして感染し重症化された方々、全ての人が少しでも救われる「日本」となってほしい。「私の国、日本は無料で救急車を呼べるんです。」そう、未来でも言えるように、これからの日本の社会を担うものとして、より良い未来を実現するために、社会に貢献できる大人になりたい。

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